24話 ページ24
天馬がそんな事を言っていたなんて…
すると私の胸の中でチクチクするような感覚を覚えた。
何この気持ち。
痛くて痛くて…辛くなりそう。
『………………』
「その後もサッカーしてもミスばかりしたり
空を見上げながらじっとしていたり…
いつもの天馬ではありませんでした。」
『……っ』
「先輩…
何かあったなら教えてくださいっ！」
少し大きめの声でそう私に言う葵ちゃん。
葵ちゃんの真剣な目。
握られている手の温かさと優しさ。
私や天馬の事を本気で気にかけてくれる。
その優しさに触れて、
私はゆっくりと伝えた。
.
.
「っえええええ!!!?
そそそ、そんな事がっ!!!?」
『ちょっ！！！葵ちゃん！！！
声大きいよっ！！！』
「あっ…すみません！
つい、大きな声を出してしまって…」
『うん……
そんな事があって…天馬は気にしているんだと思う』
葵ちゃんに天馬と本当は会ったことや
教室での出来事、天馬の元気がなかった理由を伝えた。
葵ちゃんは混乱しているような表情を浮かべ、
真剣そうに悩んでいた。
「……それって、本当ですか？」
『え？うん…
え、どうしたの？』
さっきから葵ちゃんのは腕を組みながら
難しそうに悩んでいるばかりだった。
「あ、いや…
その話を聞いて…ビックリしました。」
『な、何にビックリしたの？』
私の問いに葵ちゃんは顔色を変えず
こう答えた。
「それって…
A先輩の事が好きってことですよね」
言葉を失った。
それと同時に
私の心臓もまた一気に高鳴っていく。
ドキッ…ドキッ…ドキッ
…天馬が…
私を好き…？？？
『葵ちゃん……
それ、本当に言ってる…？』
「だって！！
サッカーが大好きでサッカーの事しか考えていないサッカーバカのあの天馬が！！！
先輩を抱き締めたり
そんな事を言ったりしませんよっ！！！！」
葵ちゃんの声がまた一段と大きくなり、
校庭中に響き渡った。
『ああっ葵ちゃんんんんんっ!!!?
だから声っ！声っ！！！！』
「ハッ！！！
す、すみません…
歩いて行きましょうか…」
このままだとサッカー部の人達と
出くわしてしまう可能性があるので
私達はそのまま学校を出た。
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作者名：れいにゃん | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/my.php
作成日時：2018年3月21日 1時
