【氷室辰也】Snowdrop

Epilogue ページ29

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「A先輩っ！！」






駅のホームから私を呼ぶ大好きな声が聞こえる



1年ぶりに会う、大好きなその姿を見て私も走る






『辰也くんっ！ 久しぶりだね』






人目も気にせずに抱き合う



秋田と東京の距離はそれほどまでに大きかった。






「頑張りましたよ、オレ！ ちゃんと同じ大学に入りました！」






『偉い偉いっ！ よくついて来られたね！』






頭を撫でようと背伸びをして手を伸ばす。






『あれれ……背伸びたね、辰也くん』






「もう大人ですから」






ふんわりと笑う笑顔は、確かに昔より大人びていた


なんだか遠くなってしまったみたいで切ないなぁ……






「オレ、大学の近くにアパートを借りようと思うんですけど……
A先輩はどんな感じですか？」






『あぁ、なら私の借りてるアパートにくる？ 丁度一部屋空いてるし大学も近いよ？』






「良いんですか？ ならそうさせてもらいますね」






手を繋いで歩き出す。



高校時代に戻ったみたいで、なんだか胸が高鳴る。




好きな人が近くにいるだけでこんなに幸せなんだよって、教えてあげたくて笑顔で辰也くんにキスをした。






「A先輩……」






『んん？』






不意に名前を呼ばれた。






「大学を卒業したら……えっと……」






『ほら！ 男の子なんだからシャキッとする！』









辰也くんは、私をふんわりとお姫様抱っこし、耳元で呟いた









『よろこんで！』









大人びた高校時代の後輩くんは、
気づけばたくましい彼氏くんに変わっていました。








＊＊＊









「大学を卒業したら……結婚を考えてくれますか？」









Fin.

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