太宰姉の苦悩。

あの頃の治は可愛いかった。今もだけど！　　過去編 ページ35

どちらも次期当主として遜色なかった為、跡継ぎの子供が産まれた方を後継とすると当主が言ったが、どちらも子宝に恵まれなかった。


なので、長男坊が跡を継ぐ話になったが、

そこに次男坊に娘が出来た。


とても聡明な娘であり、3つになる頃には小学生くらいの知識があったとかなかったとか。


これで、次男坊が跡継ぎとなるかと思いきや

今度は、長男坊に息子が出来た。


当時は男尊女卑は当たり前、長男を産んだと言う事で長男坊夫婦が跡継ぎとなる事になった。


だが、長男坊夫婦は傲慢出会った為、次男坊一家は虐げられしまった。と言っても陰湿な陰口等だが…


次男坊の方の嫁さんは、お産前からの周りからの重荷に、長男坊夫婦の事で精神が参ってしまい、最後には夫である次男坊も精神がどうにかなってしまい。


娘を本家に養子に出したと思ったら、二人して行方不明になってしまったのだ。



「これから宜しくお願いします。"お父様"、"お母様"」



お父様「は！あの木偶の娘が、さぞ息子の引き立て役にでもなってくれ！」



お母様「なんで、こんな"出来損ない"を引き取るの？」



お父様「父上が言うから、仕方がなく、な。」



「…」ニコニコ



それからは、長男坊が当主となり、どんどん繁盛して行くと同時に悪い噂が絶えなかった。

そして、修華はあいも変わらずいい子を演じて優秀な成績を収め、ニコニコと当主達に媚びを売り、女なのにと学校でも家でも虐げられていた。

そんな中、弟である治も大層優秀だと言う噂を聞く。

弟とは、何度か顔を合わせたのみで、食事も別室で取っているしいつも勉強しているので、遊んだ記憶などない。

が、しかし、ある日仲の良い使用人であるハナからたまには息を抜いて見たらどうだと言われ、縁側で文書を読んでいた時のことだ。



？？「姉様？」



私の事を姉様と呼ぶのは、治だけだ。

あの当主様の息子だ。どんな我儘者であろうかと顔を上げて彼をみる。



「なんでしょうか？治様。」



私は、お母様から弟の事を様付けで呼ぶ事を強いられて居る。が、弟である治は私に様をつける事を強要されていない筈だ、と不思議に思う。


「私目の様な"出来損ない"の事は、使用人同様呼び捨てで構いませんよ？」



治「じゃあ、姉さん！あと、姉さんは出来損ないなんかじゃないよ！」



「そう、ですか。」



あぁ、あんな奴らとは彼は違う。

ニコニコと笑いながら姉さんと呼ぶ、その姿に私は天使を見たと思った。

私を構成する思ひ出　　過去編→←太宰修華の過去

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す