【IFルート】7話以降IF明日人さん (ページ21)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:11,206 hit

21 ページ21

同時に名前を呼ぶ
がそれを聞くと怯えたように後退り、そのまま反対側へ駆け出して行った

「…何か、したんですか？」
首元を掴みあげたままの俺の左手が掴まれる
力を込められ、痛みが走った
「…お前、見た目に合わず喧嘩なれしてやがんな」
腕を振り払う
掴まれた時の感覚が残っていた
そして、ギラギラとした目
何が青少年だ完全にこっち側じゃねーか
「そうですか？光栄ですね、
あなたの様な人にそう言って貰えるとは」
随分な煽りだ
「ああ感謝しろよ。礼なら土下座でいいぜ」
「ハッ！誰が、のしを付けてお返しします」
口が減らない言い慣れてやがる

(口論じゃラチが明かねぇ)
言葉の暴力が途絶え
静寂が訪れた

相手の弱みを探るように睨み付ける
動揺を見せてはならない
視線は秒ごとに鋭利になっていく

敵意を含んだ攻撃的な視線が相克していた

ふと、遠くから足音が聞こえてくる

だがその目がそらされることはない

"目を逸らして逃げたら負け"
皮肉すぎる共通認識

足音は2つ、着実に近づいているのがわかった
どうやら人を呼んだらしい
目の前の奴は僅かに顔を強ばらせる

最悪の状況だな
もしここで喧嘩なんて"勘違い"をされてこれ以上問題が起きたら失格になりかねない
それはお前も同じはずだ
ましてやお前は離脱なんて出来ない

(さぁどうするスパイ野郎)

…
足を動かすがもはや走っているとは言い難い
俺は足を引き摺るように歩いていた

(氷浦達の部屋どこだっけあのまま2人を置いてきて良かったのか俺に出来ることはないのか
そもそもなんであんな事になった)

「…はやく…誰か呼ばなきゃ… はやく」
言い聞かせるように繰り返す
どうして？と浮かぶ疑問を考えないように何度も何度も
けど俺の思考は言葉に呑み込まれてくれなかった

廊下の角を曲がる
こっちは氷浦達の部屋じゃないのに
俺の目的とは裏腹に壁に沿って廊下を曲がった
「よぉ稲森、もう練習でれんのかよ？」
声がして顔を上げる
「不動さんと…あっ…」
「なんだよ言いたいことでもあんのか？」
不動と吉良
これで2人共タオルやボトルを運んでなかったら俺は他を当たったかもしれない…
以前のイメージとかけ離れたことをする2人を見て、少し落ち着いた

(そうだ、喧嘩止めなきゃ…！)
「あ、あの…」
「あ"あ？」
「喧嘩…してて…」
言葉が詰まるだめだ文章にならない
「誰が」
不動さんが尋ねる
「…一星と…灰崎」
ボトルの入ったカゴが音を立てて落下した