【イナイレ】冷酷に、無情に【第五章】

第２０５話　約束 ページ49

勝也「……」


坂本「だから、お願いします。修也からサッカーを奪わないでください」



頭を下げたAを見て、勝也はふと幼き頃の彼女を思い出していた


あんなに泣き虫で、怖がりで、よく修也や誰かにくっついていた女の子が

いつの間にかここまで立派に成長している事を、改めて実感する


彼女が夕香の事故の証拠を集めるために自分を変え、帝国に行った事も

本人に口止めされていたらしいが、つい最近になって鬼瓦という刑事から聞いた


そして今また、彼女は自分の子供のために彼女自身を犠牲にしようとしている



勝也「…いいだろう」



その決意を、断るわけにはいかなかった


返事を聞き、Aは驚いたようにバッと頭を上げ

再び深く頭を下げた



坂本「ありがとうございます…！」



これで勝也の気が変わろうと変わらなかろうと、修也からサッカーが奪われる事はない



坂本「最後に１つ、お願いがあります。…この事は、修也には言わないでください」



彼の事だ、きっとAが代わりになったと知れば

自分を責め、それこそ責任を感じてサッカーをやめてしまうかもしれない



勝也「あぁ」



安心したように、ほっと肩を撫でおろすAだが

ふと“あの約束”を思い出し困ったように笑った



『A、約束だ。もう孤独な戦いはするな。何かあれば必ず言え』



エイリア騒動の後、修也にさせられた約束


Aは承諾したものの、やはり自分には避けて通れぬ道だなと

破ってしまった約束に、苦笑いを浮かべる

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