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第33話 ページ34

you side

そう――今、私の前にいるのは、浦島坂田船の皆さん。

もう帰れる。十分。なんなら、いつ死んでもいいぐらい。

そう思うぐらい、今までの数秒間は幸せで。本当にかっこよくて。


「しいな…」

どこからか、私の…ネット上での名前を呟く声が聞こえた…気がする。

『……え…?』

それに合わせてか、私も小さな声での反応。

四人をちらりと見てみると、三人は疑問の表情。一人は俯いて、何かを考えているようだった。


『…あの、志麻さん…』

私がそう喋った理由は。

ついさっき、俯き何かを考えているように見えたから、という理由。

ただ、それだけではない。むしろ、後者が本命なほど。


「あっごめん!!」

『い、いえ…大丈夫ですよ…』

にっこりと笑って返事は出来なかった、その理由は。


…推しが、私のことめっちゃ見てくるから。


別に、ね?多少見るのは良いよ。でも、こんなに見ますか…


しかし、彼の言葉は。


「しいな、よな?」


もう一度。確認の、問いかけだった。

『…!?は、はい…』

どうしてわかったのだろう、と不思議に思ったが、間違いではない…と思った為に頷く。


私達…二人以外の人達は困惑、驚きといった感情を持っているようだった。

『…でもどうして…?』

「twitter、フォローしてるから」

なかなかの衝撃的な言葉が、即答で返ってきた。

一瞬冷静になった。その時に考えたのは。

"私のツイート見られてるの…!?え、めっちゃ恥ずくね?"

なんてことだったが、


周りからは驚きの声が絶えない。

「え、まーしぃ、まじ!?」

「え!?てかバレんの!?」

「わぁ…」

など。最後の方、苦笑交じりに言う声も聞こえてきたが…


仲良いな〜、さて。帰るか。

なんて思いながら、スタッフさんの元へ。

「「いや、ちょっと待って!」」

聞こえてきたのは全員の声。

四人がハモるとか…仲良すぎ…てか何で…

『はい?』

「もうちょっと話したい」

「詳しく教えてほしいことある」


『……twitter知ってるのなら、そちらで宜しくお願いします。
 友達をあまり待たせたくないですし』

あまり関わりすぎるのも、そう思い振り返り、にっこりと笑ってから扉の外へ。


外に出た後、私が聞いたのは。

最初の沈黙、数秒ほど経った時の、四人の驚きの声。

そして、私が聞いた最後の言葉は、推しの言葉だった。


「……なんで!?」


それを聞き、思わずクスッと笑った。


.

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ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2021年11月18日 19時) (レス) @page40 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
玲華(プロフ) - 蜜柑さん» ありがとうございます!そうだったんですか!?嬉しいです…本当にありがとうございます…! (2020年7月13日 17時) (レス) id: 3ea7e362ea (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 完結おめでとうございます!この作品、最近見た作品で1番好きで、更新楽しみにしておりました!これからも無理をなさらず、素敵な作品を作っていただきたいです!(`・ω・´)お疲れ様でした! (2020年7月12日 8時) (レス) id: e405411bb6 (このIDを非表示/違反報告)
玲華(プロフ) - きむちさん» ありがとうございます!そう思ってもらえて良かったです。更新頑張ります! (2020年5月5日 16時) (レス) id: 3ea7e362ea (このIDを非表示/違反報告)
きむち - 初コメ失礼致します。とても面白い?です!本当にこの物語の主人公になっている気分で楽しいです!これからも更新頑張ってください!陰ながら応援させていただきます!長文失礼しました! (2020年5月5日 14時) (レス) id: 72534f9fb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:玲華 | 作成日時:2020年4月27日 17時

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