【テニプリ】君ともう一度、出会えたならば (ページ22)

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想い　長太郎side ページ22

～時は遡って～

朝、電車で宍戸さんと話していたら

男「なぁ！俺ら暇だし、ちょっとお茶してくんね？」

ガラの悪そうな人が、女の子に声をかけているのを見つけた。

女の子、とっても困ってるみたいで俺は放っておけなかった。

一応電車の中だし、他の乗客もいたから迷惑になるか考えて宍戸さんに許可をとってみる。
宍戸さんは軽くOK。

俺は頷いて男性の方へ向かう。

それから色々あって、男性は別の車両へ走っていったけど...。
女の子が無事か気になって後ろを振り向いたら、俺は初めての感覚を味わった。

顎で切り揃えられた、向日先輩のような髪型に大きな猫のような吸い込まれそうな瞳...。
言い表し難いけど、俺は確かに彼女に好意を抱いてしまった。

話してみると、転校生で同じクラスのようで...。笑顔で会話をしてくれた。

それからは朝練に誘って、マネージャーにもなってくれたり、忍足さんに騙されて二人で息を切らしながら走ったり...。
色々していたけど急に日吉がやって来て、シングルスでの試合を持ちかけてきた。

嫌にニヤニヤしている日吉に、どうしてと聞くと彼女には聞こえないように俺に近づいて

日「お前、あいつに一目惚れでもしたんだろ。」

そう言われた。負けた方には、関わってはいけないという条件付きの試合...。

「Aちゃんは、関係ないだろっ？」

一度了承したけど、そんな条件はのめなくて聞いてみると、日吉はよりいっそう口を吊り上げて笑う。

日「あいつの前で負けたら、激ダサだな。」

「！！」

その瞬間、俺は悪い癖が出てしまった。
俺は恋愛話を前にすると固まってしまう。樺地と少女漫画の貸し借りをして、耐性をつけようとしているくらいにはそういうのが苦手だ。

日吉に言われるまで、そんなに意識をしていなかったけど...。

負けたら、激ダサ...。そんな言葉が胸に刺さる。

Aちゃんはずっと黙る俺を心配してくれているようで、名前を呼んでくれる。

貴方「えっと...？」

そんな風に聞いてきてくれたけど、意識をしてしまったらもうダメだ...。

「そ、そのっ、無理に話さなくて、いいから...。」

彼女に自分の気持ちがバレないようにしたくて、ついそっけない態度をとってしまう。

それからもAちゃんは、俺に何度も話しかけようとしてくれたけど...。
俺はその度に逃げてしまった。