急な約束 ページ12
ー教室前ー
長太郎くんに手を引かれて、走ること数十秒。
お互い息が上がりながらも、二階の教室へとついた。
鳳「はぁっ、はあっ...今、何時...?間に合ったかな...。」
「8時、15分っ...!」
立海の授業開始時間より大分早いけど...氷帝はこんなものなのか...。
私が時間を伝えると、長太郎くんはえっ?!と声を漏らす。
鳳「本当?!まだ時間あるのに...!!」
「えっ、何時からっ、なの?」
鳳「8時半から!まだ15分もある...。」
でも、忍足さんはもうすぐチャイムがなるって...。
まさか
「忍足さん、嘘ついたってこと...?でもなんでっ...!」
鳳「分からない...。それより、走らせちゃってごめんね?」
長太郎くんは心配そうに私を気遣ってくれた。
「大丈夫!早く着くのは良いことだから!」
私が長太郎くんに笑いかけると、後ろからスタスタと足音がする。
振り向くとそこには、先にいったはずの日吉くんがいた。
「あれっ、日吉くん?!」
日吉くんは口の片方をつり上げてニヤリと笑う。
日「鳳。今日、俺とシングルスで戦え。」
長太郎くんをしっかりと見つめながら、日吉くんはそういった。
急に試合の約束...?ここの2年生って、すごくテニスに対して向上心あるのかな...。
鳳「え?別にいいけど、急になんだよ...。」
眉を下げて困る長太郎くんのもとへ日吉くんは歩いていき、耳元で何かを囁く。
瞬間、長太郎くんは驚いた顔をした。
日「お前が負けたら、そうだな...。そいつと関わるのをやめるんだな。」
日吉くんは顎で私を指す。
「?私、関係あるの?」
意味が分からない。どうして二人の約束に私が関わってくるんだろう?
鳳「Aちゃんは、関係ないだろっ?」
焦ったように疑問を投げ掛けている。すると日吉くんは一層口をつり上げ笑った。
鳳「!!」
日吉くんが再度長太郎くんに何かを囁くと、長太郎くんはうつむき、黙ってしまった。
少し顔が赤くなっているのが分かる。
「長太郎くん...?」
日「図星か。まぁ、了承したなら今さら断ったりするなよ。じゃあ、また部活でな。」
日吉くんは言いたいことをすべて言い終わったのか、教室のドアをがらりとスライドさせて入っていった。
「えっと...?」
鳳「その、無理に話さなくて、いいから...。
それに続くように、長太郎くんは私に一切目を合わせず教室へと入っていく。
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作者名:麗花 | 作成日時:2024年3月26日 23時