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それしか知らない ページ21






空気が凍る。


完全に目が合う直前に何とか首の傷は癒せた。


だが




「え、誰その金髪の人!?外国人!?」




隣の男の姿を見られてしまった。




さらに、その女生徒は今朝校門前で会った前田皐だった。

素知らぬ顔で逃げ切る事などできない。


冷汗が凄い、喉が渇く。


「神崎さん、その人誰?」

『……いや、その……』


良い言い訳が思い浮かばない。


「あ、もしかして……」

『…?』



「神崎さんの彼氏?」

『ぶっ!!』



あまりの衝撃にかつて無い反応をしてしまう。



彼氏?彼氏と言ったのか、この高慢ちきな男を?



ギルガメッシュは未だ無反応だ。完全に退屈状態に浸っている。

こっちはお前のせいで困っているというのに。



前田も私が困惑しているのに気がついたのか、傍まで近づいてきた。



「もしかして、訳あり?」

『…そう、とも言える…』

「そっか…じゃあ、私見なかった事にするから…それで平気かな?」



私はどうやら彼女を誤解していたようだった。

てっきり世話を焼かれるものと思っていたが、前田はあっさりと身を引いた。

裏があるのかとも思えるが、彼女の場合純粋な気持ちによるものに感じる。



手を振りながら屋上から去っていく前田に若干の罪悪感を感じながらも、事態が収束した事に

一安心した。




『ギルガメッシュ、貴方は取りあえず霊体化を――』

「雑種。」




今まで沈黙していたのに、急に言葉を遮られる。




『…何?』

「お前は男を作った事は無いのか?」



それはどう意味だと正直に問いたかった。

恋人ができるという事か?ならば答えは――



『いいえ。私にそんなものは必要ない。』



「……そんなもの…………とはな……」




妖しい笑みを浮かべ、ギルガメッシュが近づいてくる。



いつぞやの夜と雰囲気が似ている。




「…どこまでも飽きさせぬ奴。」




その言葉と共に、ギルガメッシュは金色の粒子となって消えていった。




『……意味が分からない。』






そうだ、相手を決める事に意味は無い。

世俗的な生き方、そんなものは私には必要ないのだ。

望みを持たない。

いつの日かあの男に感じた期待など、一時の気の迷いに他ならない。


私はただ、この戦争で師の望みを叶える為だけの

道具だ。


頭によぎる父親の姿は、真っ黒にくすんでいた。


そう、私は


道具なのだ。



それしか、知らない。

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設定タグ:Fate/Zero , ギルガメッシュ , 英雄王   
作品ジャンル:恋愛
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時

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