思案 ページ20
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『…何…をしているの?』
「我に問いているのか、雑種?」
『貴方以外にはいない。』
いつも以上にやる気のないギルガメッシュは、答える気も無いといった風に鼻で笑った。
イラッっという擬態語に正に当てはまる感情が沸々と湧いてくる。
珍しい事もあるものだと思う。普段なら溜息だけで済んでいたのに。
何故こんなにも、動揺している。
相手はサーヴァント、人外の存在。身の危険は自らの手で排除できる。
圧倒的な強さを持つ者。
なのに、私は彼に大事が無かった事に安堵した。
誰かに見られる前に発見できたからではなく、彼の身を心配したのだ。
だから、彼の勝手な態度に腹を立てた。
例えるなら、母親が迷子になった自分の子供を案じているような…
『…ギルガメッシュは……子供……』
「何か言ったか。」
『な、何も言っていない。兎に角、早く降りてこっちへ。』
手を差し伸べる。
「誰が貴様の手など取るか、そして貴様の命など聞くか。」
一蹴される。
そこが私の限界値だった。
ズンズンとタンクの下まで移動し、全力でタンクを蹴り飛ばす。
「!?貴様、天性の阿呆か!?」
ギルガメッシュの焦る声はレアだがそんな事今はどうでもいい。タンクが凹んだのも気にしない。
『……貴方は約束を忘れたらしい。"大人しくする"…王は口約束なら平気で破る嘘つきとは――』
最後まで言い切る前に黄金の扉が開かれ首元に剣が突き立てられる。
「王の侮辱には死を持って遇するぞ、雑種。」
『正論を言われて逆切れとは…御見逸れ致しました、英雄王。』
「貴様っ…!!」
首元から血が滴る。穂先は後何ミリかで首の動脈を切り裂く。
だがそうはならなかった。ギルガメッシュはグッと堪えながら扉を閉じた。
「……今回のみ見逃す。次あの様な物言いをしたならば、貴様の首は落ちると思え。」
どうやら納得してくれたようで、渋々降りてきた。
『…分かっていただけた様で良かった。それと、その姿を誰かに見られていない?』
「フンッ、そんなヘマはせんわ戯け。我を誰と心得る。」
先程の思案のせいか、ギルガメッシュの態度は行き過ぎた子供の我儘に見える。
プイッと顔を背ける仕草に、少し可愛いと思ってしまったのは天然の母性というモノなのか。
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その時
屋上の扉が開いた。
現れた女生徒と
目が合った。
嗚呼、今日は厄日だったらしい。
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時