邪魔 ページ13
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黄金の王の宝物と、黒い騎士の力が
今にも衝突しそうになったその時だった。
「…!」
辺りを令呪の魔術が侵食する。
と同時に、ギルガメッシュは指をピクリとも動かさなくなった。
それは遠坂時臣が、令呪を使ってギルガメッシュに帰還を命じたからに他ならない。
『……邪魔を……』
不意に口から出た言葉は、自分でも驚くものだった。
時臣の行動に、怒りを覚えたのだ。
そのような事は初めてだった。
だが時臣の行動は非常に理に適ったものである事も、しっかり理解できていた。
だからこそ、怒りを表面に出すことをしなかった。
やがてギルガメッシュは、大量の武器を回収しながらその場を去っていった。
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『……帰ろう。』
黄金の輝きが無くなった瞬間、急に興味が無くなった。
聖杯戦争というそのものの、本来の戦いに何の意欲も感じない。
気がつけば路地裏まで歩いていた。
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帰るのだ。
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『……どこに?』
しかしそこから足は動かなかった。
このまま遠坂邸に戻ったとしても、あの話の後ギルガメッシュの元には行けない。
行ったとしても、追い返されるか、あるいは――
『……寒い。』
よく考えてみれば、真冬に大した上着も無く外まで来てしまっていたのだ。
意識した瞬間、突然の震えに見舞われた。
体を抱き込んで、その場に座り込む。
寒い。
寒い。
『………ギルガメッシュ………』
何故その時その名を呼んだのか、わからない。
口から気がつけば漏れ出ていた。
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「我を呼んだか、雑種。」
『!!!!!』
声のした方を見上げると、その場にいるはずのない男の姿が見えた。
相も変わらず趣味の悪い服装をした、しかし見間違うことのない赤い目を持つ男。
暫く、お互い声を出すことなく見つめ合った。
「……いつまで我を見ている、早く立て。」
何分か経ち、痺れを切らしたギルガメッシュのイラついた声に、思わず立ち上がった。
『………何故、貴方がここにいる。』
「…フンッ、貴様…先程まであの場所で我を見ておっただろう?」
『!』
ばれていた。
流石というべきか、目の前の男はさも当たり前の様に言い放つ。
『けど、令呪で邸宅に戻ったのでは?』
「撤退せよとの命だ、武器を下げれば縛りは消える。」
やれやれと溜息をつくギルガメッシュに
私は涙を流していた。
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カエデ - もう更新は絶望的かもしれませんが、いつまでもお待ちしております😭 (10月8日 14時) (レス) id: e7e0135c10 (このIDを非表示/違反報告)
指導者は白痴、かかってこいや当局 - まじかよ本当にいいとこで終わってんな、、、 (2021年8月26日 23時) (レス) id: 55ab4f5815 (このIDを非表示/違反報告)
Na Ryu(プロフ) - うそん!!?めっちゃ良いとこで終わってるー!! (2021年1月4日 9時) (レス) id: e0675e6765 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃちゃん(プロフ) - コメント失礼します。ギルガメッシュが好きでこの小説を読み始めました。続きがものすごく気になります!更新頑張ってください!! (2020年6月12日 17時) (レス) id: 5728e25ca4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめの - コメント失礼します^o^凄く面白いです!更新頑張って下さい!応援しています! (2020年4月21日 19時) (レス) id: a922e9fda4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:またたび | 作成日時:2016年6月19日 6時