ある日の夕暮れ、僕は恋をした ページ27
親戚や家族の知り合いの関係で僕は幼い頃からこの鉱山によく訪れていた。
家から鉱山へ向かう途中、父親の知り合いである鉱山労働者のお兄さんはよく僕にこう言った。
"この鉱山には美人な守神がいる。祠を通る度に挨拶をするんだ"
と。
大きな災害などからこの鉱山を守り続けてきた神様らしい。
その言葉を忘れずに、僕はその祠を通る度に両手を合わせ、視たこともない彼女へ挨拶をしていた。美人だという評価をされていたが彼女の姿を見た労働者は居ないらしい。
そんな想像で語られてきた彼女の容姿は、僕が"とある事故"に巻き込まれてから僕の中で確信に変わる。
＊
｢うわぁぁぁぁぁぁぁああ！｣
自分の絶叫が暗闇に一斉に広がる。
身体は奈落の底に引き寄せられるように、一気に下降していく。
足を滑らせた僕は為す術もなく、冷たい地面の底に身体が叩きつかれる恐怖を想像して怯えるしかなかった。
...あぁ、もうだめだ。
そう思って目を閉じたときだった。
『だ、大丈夫？』
微かに聞こえた女の人の声。
身体のどこにも痛みはなく、目を開けるとそこは地上だった。
｢え...？｣
さっきまで僕は落とし穴の中にいたはずなのに。
両足はちゃんと地面の上で僕の身体を支えていた。
その女の人を見ると、その風貌に絶句した。
豪華な服飾、美しい見た目。
一目で分かった。
__彼女が守神だって。
『良かったぁ。どこも怪我してないみたい。危なかったぁ』
彼女は僕が目視していることは知らないらしく、1人で楽しそうに話している。
きょろきょろと僕を見たあと、ふわっと笑って空の方へと消えていってしまった。
｢ま、待って｣
追いかけようと手を伸ばしたけれど、その手は虚空を掴み、彼女の姿は見えなくなった。
｢...会っちゃった｣
誰もあったことの無い守神に。
助けられた。
綺麗な鈴の音と一緒に。
＊
｢....｣
信仰なんかじゃない。
何年経っても色褪せない、僕の初恋の話。
そして絶対に叶うことの無い、終わりのない愛の話だ。
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怜(プロフ) - 沙羅さん» ありがとうございます！！沙羅さんのコメントが嬉しくて私も毎回栄養補給させて頂いてます(？) 他作品の方はこれからも続くので、どうか末永くよろしくお願いします...！ (2020年6月25日 0時) (
レス) id: 6fe8036f83 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 完結おめでとうございますとお疲れ様です…！どんな結末になるんだろうと色々妄想(？)してたのですが、ちょっと切なくて甘い感じ、好きです…！今回も栄養補給させて頂きました(ｴﾍﾍ)、ありがとうございます…！！喫茶店の方も楽しみにしてますね！ (2020年6月24日 21時) (レス) id: 3aa856ffa1 (このIDを非表示/違反報告)
?mi?(プロフ) - ゆったり更新で大丈夫ですっ！気長に待ってますっ！！ (2020年6月17日 4時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - ?mi?さん» ありがとうございます...！ゆったり更新ですがどうかよろしくお願いします！ (2020年6月16日 18時) (レス) id: 6fe8036f83 (このIDを非表示/違反報告)
?mi?(プロフ) - 続きめっちゃ楽しみにしてますっ！！ (2020年6月16日 3時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜 | 作成日時：2020年6月6日 16時
