すのまんまの9人 3 (ページ21)

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fk「…どーゆう」
iw「そのままの意味だよ」
fk「俺、照より年上だし、大丈夫だよ」
iw「そんなの関係ない。ふっかは何も言わなすぎるんだよ。もっとちゃんと話してよ」
fk「…別に、なんかあったわけじゃないよ。ただなんとなく辛いなーって時、あるじゃん。今それなんだよ。何か掴めそうなのに掴めなくてなんかふわふわ漂ってるだけ…みたいな」
iw「そうなんだ」
fk「おう…だから相談乗ってもらうほどのことじゃないの」
iw「そばにいる」
fk「え？」
iw「俺たち、ずっと一緒だし…何ができるかは正直わかんないけど、そばにいるよ」
fk「……」

ふっと何かが軽くなるような気がした。
照とならどんなに苦しい道のりでも進んでいけるような気がした。

あの日から、少しずつタバコの本数は減って掴めないものは9人になってしっかり手に握れた。
でもそれと同時に怖くなったのは、何かの間違いで握ったものを離さなければいけない時がくるかもしれないという不安だった。

そして、決まってみるあの夢。
誰も助けてくれない舞台の主人公になってしまった俺は、誰に助けを求めたいのか。
なぜあの夢を見るのか。孤独に耐えれなくなっていつの間にか弱くなったんだと悲しくなった。

fk「…やっぱ、ちょっと寒いな」

少し冷える夜。1人。少しだけ寂しい。

iw「冷えちゃうよ」

背中が急にあったかくなって、後ろから伸びてくる筋肉質な腕がぎゅっと腰に巻きつく。

fk「あれ？照？」
iw「ただいま…なんで外にいるの？」
fk「なんか…嫌な夢見て」
iw「それでタバコ？やめてなかったの？」
fk「あ、いや…たまーに、ね」
iw「そっか…俺も久しぶりに吸おうかな」
fk「…ん」

俺の隣に並んで紙タバコに手を伸ばす。
風で消えないように手でライターを覆いながら火をつける。

あの頃より、よく似合うそれは照を大人にしたんだなと感慨深くなる。

iw「…ちょっと美味い気がする」
fk「ふふ、照が大人になったってことだ」
iw「ふっかは？」
fk「んー？」
iw「美味しいと思えるようになった？」
fk「んー……相変わらずかな。やな味なのに甘えたくなるよね」
iw「そっか」

気づけば、俺より下なのにリーダーになって誰よりも信頼があって頼りになる立派な男になってた。
そんな人が俺の恋人で、誰よりも愛してくれてるなんてこんな俺には勿体無いような気さえして。

ああ、ダメだ。どんどん暗くなる。