52話 ページ20
「あの、大丈夫ですか？」
横に立っていた樋口がこちらの様子に気づき、そっと声をかけてきた。余程ひどい顔をしていたのだろうか、肩に手まで添えられている。
「いえ、大丈夫ですので、お気遣いなく……」
「医務室なら近くにありますが、お連れいたしましょうか？」
いや医務室なんて以ての外だ。あそこは、医療機器が沢山ある。つまり電気が多すぎる。寧ろますます悪化しかねないし、下手をするとそれこそ異能が暴走しかねない。それに、ともう二つほど嫌な理由が思い当たった。まず一つ目だが、これは可能性が低いのできっと大丈夫だろう。問題なのは二つ目、この組織の首領の森鷗外である。彼の前職は医者であり、時々、本当に時々だが、医務室に備品などをチェックしにくることがあるのだ。そんなところにかち合ったら最後、こんにちはと同時に牢獄行きだろう。不法侵入もいいところだからだ。
いいです、と呻き、Aは今後の行き先に思考を巡らせる。――否、巡らせようとしたのだが。
「……っ!!」
一際頭がズキンと痛み、Aの視界がちらついた。手と足がジンジンと痺れ、呼吸が荒くなっていく。拙い。非常に拙い。背筋に冷や汗をかきながら、Aはなんとか壁に寄り掛かった。樋口が何か云っているのは分かるのだが、電気の音がうるさすぎて何と云っているのかちっとも聞こえない。心配そうな顔をされているのは見てわかるので、離れて、と口を動かして伝えようと試みる。何と云っても、A自身の能力は電気を操るものである。異能が暴走した瞬間に触られでもした場合、彼女は丸焦げになるだろう。こんなところで、マフィアの人間を殺して恨みを買われたり面倒なことになりたくない。それに何より、人を殺すのはあまり気分も良くない。
そうこうしている間にも、Aの感覚はどんどん失われていっていた。ああ、倒れる。直感的にそう思った瞬間、目の前に地面が迫っていた。
あの男の元にいかなくては。
頭に鈍い痛みが走って、Aは意識を失った。
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麗(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！ (2021年5月22日 17時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - わー！！！！！更新されている……めちゃめちゃ嬉しい、、、、、これからも応援しています！！！ (2020年4月30日 22時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
こよひ(プロフ) - りか（かりんとう）さん» 遅くなってしまって申し訳ありません。お読みいただき本当にありがとうございます。私事なのですが、来年受験のためしばらく更新をするのは厳しいかもしれません。気長にお待ちいただければ幸いです。 (2020年1月21日 15時) (レス) id: 38c890fd29 (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - とても面白いです！！続きがとても楽しみです。更新まってます……！！ (2020年1月2日 23時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こよひ | 作成日時：2019年5月2日 23時
