48話 ページ16
なぜこんなに時間がかかったのか、と問うと、樋口からこんな回答が返って来た。
「図書館側が伝え忘れに気づくのに遅れたのと、それからもう一つ、現在マフィア内が大変な騒ぎになっておりまして」
「大変な騒ぎ、ですか」
「ええ。どうやら、マフィアの機密事項を握っている人物を捕まえたとかで、その者の経歴を調べるのに追われているのです。それに加えて、上層部には何者かからの脅迫状まで届いているという噂も……」
いや、いやいやいや。まさか。
Aは現実逃避したい気分に駆られた。まさかとは思うが、マフィアに捕まえられたとかいうのは、うちの保護者ではあるまいか。ついでに云えば、上層部に脅迫状を送ったのも、うちの保護者ではあるまいか。脅迫状を送ったのは恐らく太宰で間違いないだろう。昨晩書いていたし、残されていた伝言から考えても、有り得ない話ではない。
けれど問題は、マフィアに太宰が捕らえられているかもしれない、という点だ。あの男が捕まったのだとしたら、それはきっとわざとだというのは分かる。Aが行っている潜入捜査まがいのこととあまり変わりないし、弱いフリをして敵地に乗り込むのは常套手段だ。だが、心配すべき点は、太宰ではなくAの方なのだ。もしも本当に捕まえられたのが太宰だとしたら、こちらの苦労が倍くらいまで跳ね上がる。まず捕らえられている場所を探さなければならないし、もしも地下牢など特殊な場所に閉じ込められている場合には、上手いこと理由をこじつけないと地下牢に行かせてもらえない可能性もある。まあ太宰が捕まったのならば野次馬という見学者も沢山いるだろうから、そこに紛れ込むのが一番だろう。とは云っても、マフィアの構成員達は大体皆サングラスをかけている。表情が読めない為、誰が野次馬なのか見分けるのは困難を極めるに違いない。
まさかね、と引きつった笑みを浮かべながら、Aは今朝の伝言を思い返した。
伝言に使われたのは、携帯電話に残っている履歴の番号だった。そしてこの番号の下六、七、八桁は、携帯のトグル入力に対応している。携帯の番号ならそのまま、家電ないしフリーダイヤルならどこかの文字に濁点、半濁点をつける、または小文字にして読んでいく。すると、こんな伝言が現れる。
『敦君の情報を取りに行く マフィアにいるからよろしくね』
簡単に云うと、マフィアに情報盗みに入るから手伝え、ということだ。
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麗(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！ (2021年5月22日 17時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - わー！！！！！更新されている……めちゃめちゃ嬉しい、、、、、これからも応援しています！！！ (2020年4月30日 22時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
こよひ(プロフ) - りか（かりんとう）さん» 遅くなってしまって申し訳ありません。お読みいただき本当にありがとうございます。私事なのですが、来年受験のためしばらく更新をするのは厳しいかもしれません。気長にお待ちいただければ幸いです。 (2020年1月21日 15時) (レス) id: 38c890fd29 (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - とても面白いです！！続きがとても楽しみです。更新まってます……！！ (2020年1月2日 23時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こよひ | 作成日時：2019年5月2日 23時
