46話 ページ14
どれ程の時間が過ぎたのだろう。それは、丁度二度目の角を過ぎた直後のことだった。Aが壁を叩こうと全体重をかけて腕を降った途端、Aは硬い壁ではなく柔らかい空気に触れた。突然のことにバランスを保てず、そのまま地面に倒れこむ。
「え、ちょっ」
Aは成す術もなく、地面に激突した。真っ暗なので距離感も分からず、受け身を取ることも出来なかったのだ。肩から地面に落ちたらしく、じんわりと痛みが広がっていくのが分かった。人間、環境が違えばこうも普段と同じ行動が出来ないものなのだろうか。
けれど、そんなことよりも重要な問題がある。Aは慌てて身体を起こした。そのまま、周囲を慎重に確認する。地面に座った状態で上半身を右側へ動かしてみれば、手がひんやりとしてざらざらしたものにぶつかった。先ほどまでの壁と同じ感触である。これはきっと壁で間違いないだろう。今度は体重を逆側へ移動させ、似たような姿勢で手を泳がせた。意外に広く、直ぐには何もぶつからない。手で身体を引きずり、もう一度宙に手を向けると、漸く壁にぶつかった。そして今度は、その手を壁に付けた状態で前方へスライドさせてみた。上半身の限界まで挑戦するも、終わりにはつきそうにない。伸ばした手を壁沿いにゆっくりと下までおろせば、そこにも地面は存在した。
さて、どうしたものか。
Aは悩んだ。このままこの謎の空間を進むべきか、それとも、出口となりそうな扉を見つけるまで壁を叩き続けるか。漸く部屋の全体の大きさは掴めたものの、馬鹿みたいに広いこの部屋の壁を叩くにはもう手は悲鳴を上げている――恐らく真っ赤になっているだろう――し、作業のマンネリ化が著しい。マンネリ化してきたら新しい方法を試すのが大切だとどこかの偉い人も云っていた。
矢張り、ここで空間が出てきたからには、ここを進むべきであるような気がする。しかしどうしても、罠ではないか、という疑念が頭から離れなかった。それは偏に出口であるはずの所に辿り着くことが出来なかったからであり、現在Aがマフィアに潜入を試みている最中だからである。 もしかすると、この先は行き止まりかもしれない。もしかすると、行き止まりに着いた途端に上から銃弾の嵐が襲ってくるかもしれない。もしかすると、行き止まりより前に落とし穴があって、その中に大量の槍が櫛状に立ててあるのかもしれない。
どうしようかとAが顔をしかめたその時。
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麗(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！！ (2021年5月22日 17時) (
レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - わー！！！！！更新されている……めちゃめちゃ嬉しい、、、、、これからも応援しています！！！ (2020年4月30日 22時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
こよひ(プロフ) - りか（かりんとう）さん» 遅くなってしまって申し訳ありません。お読みいただき本当にありがとうございます。私事なのですが、来年受験のためしばらく更新をするのは厳しいかもしれません。気長にお待ちいただければ幸いです。 (2020年1月21日 15時) (レス) id: 38c890fd29 (このIDを非表示/違反報告)
りか（かりんとう）(プロフ) - とても面白いです！！続きがとても楽しみです。更新まってます……！！ (2020年1月2日 23時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こよひ | 作成日時：2019年5月2日 23時
