side Ki ページ9
「なぁ、アイツ」
藤ヶ谷が、俺の耳元で囁く
その視線の先には、長身の端正な男
ルックスの良さは、どこかのテレビドラマから出てきたと言っても過言じゃないくらいに整っていた
壁際で、それとなく微笑む佇まい
次々と客から挨拶をされてはそれに笑顔で答えている
それに・・・日本語？アイツ、日本人か
遠くて会話の内容までは聞こえないが、微かに聞こえてくるイントネーションは俺達がよく耳に馴染むもので間違いなかった
男は茶髪をさらりとかき分けると、まとわりついている中年の女に微笑んだ
片手に持ったシャンパングラスがよく似合う
「なぁ、あのバッチ・・幹部か？」
ピシッと着こなしたスーツの襟もとには金のバッチが光っている
コーポレーションの社員・・それも、階級としてはかなり上のほうだろう
その証拠に、少し距離を取って、SP風の男たちがその男を取り囲む客たちの動向を見張っている
ふと、その男が一瞬こちらを見た気がした、が、気のせいだろうか
怪しまれない程度にそれとなく視線を外す
「まずは・・様子見だな。とりあえず、浮かない程度に、競売に参加しようか」
藤ヶ谷の言葉に、頷いた
『アジアで10本しか生産されていないという、この銃は！！』
ステージの上で、黒服の男がマイクに向かって大声を上げる
観客からはどよめきや歓声が起き、値段が瞬く間に吊り上がっていく
「一口に競売と言っても、やはり銃が多いな」
ステージの盛り上がりを遠巻きに見ながら藤ヶ谷がそういった
「あぁ。どこかに、そういった軍事物資を仕入れる闇のルートがあるのかもしれねぇな」
ステージ上には、大型の銃や、希少価値の高い武具など、次々と桁違いの品物が並び、
客たちはその度に黄色い歓声を上げて、値段がすぐさま吊り上がっていく
世界の中の、トップを牛耳る要人たちの、闇の中のごく一部の人間しか知ることのできない闇の遊び場
『それでは、前半の競売最後の品になりました！！』
黒服から視線を外し、藤ヶ谷の耳元に囁く
「これが終わったら、ちょっとぬけるわ」
「え」
「トイレ」
「俺もいく。単独行動は危険、」
「ばか。女子トイレになんてついてこれるわけねーだろ。すぐそこだから待ってろよ」
さっきから、ずっと我慢していたけれど、そろそろ限界だ
納得していない藤ヶ谷の腕を振りほどいて、パーティー会場を後にした
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ピンクピーチ(プロフ) - mi-chanさん» ありがとうございます！これからも、彼には活躍を見守っていて欲しいですよね。あと、ウチの作品中でも、見守っていただく予定です（笑） (2020年7月13日 7時) (
レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
mi-chan(プロフ) - 謎の初老男性の登場見事です！絶対絶命の状況だと思ったのに…こんな風にいつまでも空から見守っていて欲しいですね！ (2020年7月13日 1時) (レス) id: 18d9607c4d (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - puuさん» 楽しみにしていただけて嬉しいです！予想を裏切ってハラハラからのスタートで二人をいきなり苦境に立たせてすみません（笑）後には、きちんとラブラブしていただくのでご安心下さい（笑） (2020年7月5日 9時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
puu(プロフ) - 続編更新待ってました！ありがとうございます！いきなりハラハラ展開続いてますね。まったりラブラブモードのスタートかと思ってました（笑）続き楽しみにしてます！ (2020年7月5日 8時) (レス) id: b36113747c (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - nanacoさん» ありがとうございます！正体を明かす前から大倉くんに気づいていたとは、流石です^_^他の作品も読んでいただけているなんて、ありがたいです！！本作、これからもハラハラな展開が続きますので、お楽しみください！ (2020年7月3日 7時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピンクピーチ
| 作成日時：2020年6月26日 20時
