Last Joker brand new world 前編

side Ki ページ42

朝、目を開けると、昨晩の痛みは少し引き、何とか自力で体を起こせるようになった

まだ寝ててと心配する藤ヶ谷には悪いが、いつまでも床に伏せていると、身体がなまっちまう

身体をゆり起こして、ずっとそのままになっていたアレを見つめる



「藤ヶ谷・・頼みがあんだ、」



藤ヶ谷に頼んで、あの日着ていた赤いドレスのポケットから、小さな黒いカードを取り出す



「これ・・」


「あぁ、宮田が作ったやつ」


「お前、」


「攫われたとき、ベッドの裏につけた・・うまく撮れてるかわかんねーけど」


「宮田に、解析頼んでおくよ」


「わり・・」






盗聴器を仕掛けたものの、あの部屋が普段何に使われているかはわからない

大倉と呼ばれていた関西弁の男は間違いなく、組織の右腕だろう

思惑通り、うまく尻尾を出すかは、わからない
だけど・・もし少しでも収穫があれば



「ふじがや・・」

「ん？」

「俺、まだあきらめてねーから・・」




あの日のまま、逃げ帰ってきたままで、俺達は終われない

藤ヶ谷のためにも、自分のためにも…

そして、置いてきてしまった5人のためにも、だ



俺が強くそう言うと、

藤ヶ谷は、「俺も」と笑って見せた









「リスト？」

『あぁ』



画面越しの玉は、冷静な声でそう言った



『ガヤから送られてきたPDFファイルを、解析してみたんだけど、さっきソッチに送った通り、その会社と裏取引してる関連会社の名前が載ってた』



「マジか」


「この間潜入したときに、USBにデータを盗った。まぁ、盗ったことむこうにもばれてるけどな」




藤ヶ谷は、コーヒーをテーブルに置くとそういった




『まぁ、ある意味予想通りだけど、思っている以上に闇が深いよ。二人、大丈夫？』


仕事しろと先日吠えていたくせに、以外に玉森はこういう時に優しい
その茶色い瞳が、ふわりと揺れる

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