僕等の恋の行く末は 完結編

side Ki ページ16

珍しく、すっきりと朝目覚めた

自他ともに認める、めちゃめちゃ寝起きの悪い俺が、久々に心地よい目覚めを感じた

隣には、ふせられた切れ長の瞳と、すっと通った鼻筋が、小さな顔に美しい配置で並ぶ


「ふじがや…」


起こさぬように、小さくその名を呼んでみた

なかなか熟睡できないと嘆いていたコイツの寝顔を、こんなに近くで見れる日が来るなんて思わなかった

すうすうと規則正しい寝息
ゆっくり上下する胸元は、昨日愛し合ったまま、浴衣がはだけてきれいな鎖骨が覗いていた

俺の左手に、指を絡ませるようにして繋がれた藤ヶ谷の右手
眠るときもずっと…こうやって手を繋いでいてくれたのだろう


「…好き」


起こさぬように、小さく呟く

恥ずかしくて、なかなか言えないけれど、その寝顔に向かって自分の気持ちを伝えた


「俺も、好きだよ」

「っ？！」


いきなり、パチリと藤ヶ谷の瞳が開いた


「お、お前、起きてたのかよ！」

ゆっくりと、起き上がる藤ヶ谷を見て叫ぶ

「さっき、ね。北山がまだ寝てたから、寝顔見ながら俺も横になってた」

「なんだよ…早く言えよ」

「ふふっ…北山…」

「な、なんだよ」


嬉しそうに、目を細めた藤ヶ谷がこちらを向く


「ありがとうね」


その笑顔は俺が昔からよく知る、藤ヶ谷の眩しい笑顔だった


「その、あの…」

つい、昨日の情事を思い出し、顔が火照る
それに気づいた様に藤ヶ谷が、フフッと優しく微笑んだ


「北山…かわいい」

「なっ…///」


よく、可愛いと言われることはあっても、面と向かって、しかも藤ヶ谷に言われるなんて
恥ずかしさのあまり、起きようとしていた体をもう一度布団の中に潜り込ませると、藤ヶ谷に優しくその手を捕まれた

「ダメ。チェックアウトの時間もあるし…ニカと千ちゃん待ってたらどうすんの」

「ちぇっ…」

「それに、」


渋々と起きようとした俺の手首を引き寄せた藤ヶ谷
不意に、すぽりと藤ヶ谷の胸に収まってしまう


「おはようのキス、してないし」


そういって、きゅっと俺を抱きしめて唇を寄せてきた藤ヶ谷は、TV仕様の藤ヶ谷の、何倍もキングなオーラで俺を見下ろしていた


そんなこと言われたら・・ますます起きたくなくなっちまうじゃねーかよ

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