僕等の恋の行く末は 完結編

side F ページ3

「大事だからって理由・・何？」



小さくそういった北山が、俺の浴衣の袖口をキュッとつかんだ

その目は、まっすぐ俺に向けられていて、吸い込まれそうなほどだった



「藤ヶ谷は・・大事だから、やめちゃうの？」


「え・・」



北山の言葉の意味をうまく呑み込めずにいると、北山がゆっくりと上体を起こした
布団の上で、互いに向かい合う形になって座る



「俺・・そういうの、わかんねぇから」


「え、きたや」


「俺は・・！」



北山が、キュッと唇を結んで俺を見上げた



「俺も・・藤ヶ谷が好きで大切だよ。でも・・」


「北山・・」


「俺は・・好きな奴には、好きって伝えるだけ。大切だから・・藤ヶ谷の事欲しいって思う・・」




小さくそういった北山が、ふわりと体を寄せてきた

ポスっと俺の肩に寄せられた小さな頭

先ほどの温泉に置いてあった上品なシャンプーの香りが鼻をくすぐる




「っ・・・！」



身体を通じて伝わる温度、ドクドクと煩い鼓動

少し伏せた睫が、揺れていて、その先には真っ赤な果実を思わせるふっくらとした唇

先ほどのキスのせいか、少しだけ濡れている唇・・


「俺…藤ヶ谷のこと、好き」


まるで、脳に直接響くように、甘く、深く、北山の発したその声が、体中を痺れさせる


なんでお前は、こんなにも…



「っ・・・も、知らねーからっ・・・！！」




気づけば、北山に着せたはずの浴衣をはぎ取って、目の前の熱い体を思いきり抱き締めていた

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