Ki 31 ページ31
「・・・あの、さ・・」
「・・・なに?」
「・・・いや」
でも、いざとなると恥ずかしくて、口ごもってしまう
急かすでもなく、優しく、顔を覗き込むようにして藤ヶ谷が視線を合わせてくれたのがわかった
「なんだよ、言いたいことはいえよ」
ぶっきら棒でも、優しい藤ヶ谷の一言に、不覚にも泣きそうになる
ちゃんと気持ちが通ったんだから・・
ちゃんと、俺も伝えたい
もう一度、藤ヶ谷を見上げた
「その・・・両思いだったってわかったわけだしさ・・もっかい、さっきの最初から・・やり直し・・・しない?」
お互い勘違いして、すれ違ったままでぶつかり合って、偶然に知った互いの気持ち
本当はずっと、お互いを思いあっていた
それなら・・このままになんてしたくない
もう一度ちゃんと、自分の言葉で、好きだと伝えたかった
俺に告白しなおさせてくれないか?
そう言おうとした矢先だった
「っ・・・北山、俺・・・!」
藤ヶ谷が、ぎゅっと俺の手を強く握って、視線を合わせてきた
あぁ、なんで結局こうなってしまうのだろう
今回くらい、俺のほうがカッコよく決めたかったのに
本当の俺はキングでもスマートでもないよ、とよく言っている藤ヶ谷だけど、そんなことない
テレビ用のクールでカッコイイ藤ヶ谷以上に、本物の藤ヶ谷は優しくて気が使えて、ちょっと不器用だけど、
大切な時はしっかり決めてくれる、カッコイイ奴なんだって、俺はわかっているから
やっぱり俺は、藤ヶ谷にはかなわない
負けず嫌いな俺だけどさ、
藤ヶ谷のことが好きだから、藤ヶ谷になら負けてもいいかな
そう思った
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2020年1月7日 21時