だから、君の隣で笑わせて (ページ30)

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Ki 30 ページ30

「・・・そうだよ！・・マジでだっせーな、俺・・」

藤ヶ谷は俺を抱きしめていた腕を緩めると、照れたようにそういって視線を外してしまった

「じゃぁ・・俺藤ヶ谷に、好かれてるって思っても、いい？」

藤ヶ谷の顔を覗き込むようにして、見上げる

「っ・・・だから、そうだっていっただろ」

「いや・・その、なんか嬉しい急展開過ぎて・・」

いまだに信じられず、しつこいと分かっていても、藤ヶ谷からの気持ちを確認したくなる
藤ヶ谷も俺の事を好きでいてくれたという事実をゆっくりと認識して、頬が熱くなっていくのがわかった

藤ヶ谷も、唇を尖らせたまま、少しだけ頬を染めていた

「・・俺は、北山が好きだよ」

ちらっとこちらを向いた藤ヶ谷が、
今度は正面から、ちゃんと俺の目を見て、伝えてくれた

「お前の気持ち・・ずっとないがしろにしたままで、ゴメンな・・。本当は、北山が告白してくれた時嬉しかったんだ。
なのに、素直になれなくて、ずっと俺も好きだって言えないままここまで来ちゃったんだ・・何度も伝えようと思ったけど・・
北山はもう、今更俺の事なんて好きじゃないかもって思ってた・・北山も、俺の事好きでいてくれて嬉しいよ・・ありがとう」

思っていた気持ちを素直に言ってくれている藤ヶ谷をみて、胸の中の苦しかった靄が急に晴れていくのがわかった

好きな人の言葉はずげえな

だって、この一言だけで、こんなにも長い間拗らせた感情を全て綺麗に紐解いてくれる
全部、温かな気持ちに変えてくれるんだから

「・・照れる・・けど、嬉しい。藤ヶ谷にそう言ってもらえる日が来るなんて思ってなかったから」

「俺だって・・」

だから俺も・・素直にならなきゃいけないよな

そう思うと、思わず笑みがこぼれて、自然と口角が上がった

なぁ藤ヶ谷、俺も、ちょっとだけ素直になっていいかな？

藤ヶ谷の切れ長な目を見上げて、自分からしっかりと視線を合わせた