Ki 23 ページ23
それに・・下心がないわけじゃない
どんな形であれ、藤ヶ谷に抱いてもらえるなんて、きっと金輪際ないだろう
今、万に一つもないと思っていた奇跡が起きているんだ
藤ヶ谷が俺を求めてくれるなら、どんな形であれ・・・好きな人に抱いてほしいと思った
「ふじが、」
藤ヶ谷の顔をのぞき込むようにした瞬間、気づけば手首を掴まれていて、
背中にスプリングの衝撃を感じた
藤ヶ谷の端正な顔が、真上からゆっくり近づいてくるのを見たときに、
後ろにあったダブルベッドへ押し倒されたということを、はじめて理解した
「途中で泣いても喚いても、やめないから」
ぶっきら棒にそういって、俺の手首をベッドに縫い付けるようにして覆いかぶさってきた藤ヶ谷の目は、その行動とは裏腹に、
何故か不安げな色を宿していた
いったん口に出しては見たものの、真面目なコイツのことだ
戸惑っているのだろうか・・俺と・・
一時でさえ、こういう関係を持つことを
そうだよな、俺だって・・長年の思いを打ち明けるまでも、打ち明けてからも、こんなに悩んだり、迷ったりしているんだから
俺自身も、自分の思いがわからないままで、
ベッドの上から藤ヶ谷を見上げると、藤ヶ谷の唇が、俺のそれを一瞬で塞いだ
「んっ!」
「はぁ・・んっ・・」
ざらりとした舌の感触が口内を這う
生暖かくて、キモチイのに、心臓はさっきからありえない速さでビートを刻んでいる
ほのかに香る、藤ヶ谷の煙草の味
あの夜よりも、楽屋でキスをした時よりもなぜか・・唇から、もっと多くの熱を感じた
「んっ、ンン・・」
息継ぎも忘れてしまうほどに、藤ヶ谷は何度も角度を変えて口づけてくる
だから、それに応えるように、俺も夢中でキスを繰り返した
藤ヶ谷が、優しいことは、きっとそばで見てきた俺は誰よりも知っていると思う
だから、こんな時ですら、その不器用な優しさを感じ取ってしまう
俺の身体を組み敷いて、手首をベッドに縫い付けてくるくせに、藤ヶ谷が少しだけ、握った力を緩めてくれたことに気づいた
泣いてもやめないなんて、ぶっきらぼうに言ったくせに、本当は俺が抵抗して、いつでも逃げ出せるようにしてくれている
なぁ、藤ヶ谷がわからないよ・・
だけど・・お前が好きだ
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2020年1月7日 21時