Ki 20 ページ20
「・・・っ」
あの日の夜に、藤ヶ谷とキスを交わしてから、コイツとどうやって向き合えばいいかわからなかったけれど・・
本当は、藤ヶ谷と向き合いたい
恋人にはなれなくても、
藤ヶ谷の一番大切な人にはなれなくても、
せめて、唯一無二のパートナーの位置だけは、譲りたくなかった
ビジネスでも、背中合わせでもいいじゃないか
藤ヶ谷と一緒に居られるなら
コイツの隣で笑うことが許されるなら・・
その肩書は何だっていいじゃないか
「・・むしゃくしゃすんだよ・・・イラつくっ」
突然、俺のほうを見て、吐き捨てるようにそう呟いた藤ヶ谷
咄嗟に藤ヶ谷の顔を見上げると、いつもはその表情を崩すことがない藤ヶ谷が、何かに耐えるように眉間に皺を寄せていた
その涼しげな瞳の奥には・・うっすらと水滴が溜まっているように見えた
「っ・・・!」
その光景が、あまりにも意外で・・俺は心が激しくざわめくと同時に、ただ大きく目を見開いたまま、黙って見つめていることしかできなかった
そんな俺を見てか、藤ヶ谷がパッと俺から視線を外した
「・・悪い。見なかったことにして」
「い、や・・あの・・さ」
本人も、心外だったのだろう
俺に背を向けたまま、目頭を押さえた藤ヶ谷の姿が、なぜかとても痛々しく思えた
なぁ・・藤ヶ谷、もしかしてまたなんか一人で抱え込んでんのかよ?
昔の俺だったら、こんな時に何も考えずに、素直に、ある意味図太く、どうしたんだ?って聞いてやれたのに
今ではすっかり臆病になってしまった
藤ヶ谷の心の底を覗くことも、知りたいと願うことも、少しだけ怖いと思ってしまう
だから、昔みたいに、
俺に何でも言ってほしい、頼ってほしいなんて、言えなくなってしまった
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2020年1月7日 21時