Ki 17 ページ17
「・・・」
沈黙が流れるエレベータ
ちらりと藤ヶ谷の視線を盗むと、ふと交わった視線
言わなくてもわかる、きっと、すこぶる機嫌が悪いんだろう
「・・・そんな顔すんなよ。スタッフさん困らせてもさ・・俺と合い部屋なんて、不本意だろうけど・・今日は我慢してくれよ」
俺は、藤ヶ谷と視線を合わせていることに耐えきれなくなって、少し目を伏せてそういった
「あ、俺、売店寄ってから行くから・・先に部屋いってろよ」
俺は藤ヶ谷にルームキーを差し出してエレベータを降りた
売店に行きたいなんて真っ赤な嘘だ
きっと藤ヶ谷は俺と合い部屋なんて、嫌に決まっているから…せめて、少しでも時間をつぶして、アイツの一人の時間を作ってやろうと思った
部屋に帰ってから、俺がすぐに眠れば、藤ヶ谷の精神的な負担にもならないだろうから
そんなことを考えて、ホテルのロビーへ降りると、俺はそのまま外へ出た
行く当てもなく、土砂降り雨の街並みを見つめる
「さ、さみぃ・・・」
台風が接近していただけあり、強風が吹き荒れる外は冷たい風が頬に刺さる様に感じる
時間をつぶそうにも、この雨の中で、どこの飲食店も早めに店じまいをしているようで、看板の明かりが暗い
仕方なく、一番近いところにあったコンビニに逃げ込んだ
キャップを目深にかぶって、雑誌コーナーに手を伸ばす
せいぜい、時間つぶしになっても30分だな・・
コンビニで長時間立ち読みするわけにもいかねぇし・・・
小さくため息を吐きながら、たいして興味もない雑誌のページをぱらぱらとめくった
結局、立ち読みで長居する俺に向けられた店員の視線に耐えかねて、俺は雑誌を閉じた
やはり、ホテルを出てから30分ほどしかたっていない
仕方なく、コンビニの酒コーナーを見つめて、これまたあえて時間をかけて缶ビールを選んだ
藤ヶ谷は、どうしているだろうか
不安にかられながら、ホテルの部屋へ戻って、そっとドアを開ける
物音がしない部屋に静かに足を踏み入れると、藤ヶ谷はベッド横のソファに体を持たれるようにして眠っていた
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2020年1月7日 21時