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Ki 12 ページ12

「ん?」


「俺らも、そろそろなんで・・」


「え」

「お、そっかー、ほな、お邪魔したなぁ、またな」


藤ヶ谷の言葉に、空気を読んだ大倉君はすっと立ち上がると、ひらひらと手を振って笑顔で帰っていった


ぱたんと閉まったドアの音と共に、俺たち二人の間に戻る沈黙



「・・・」


「・・・なんで?」




再びシンなった楽屋で、藤ヶ谷のほうを見た



「撮影なんて、まだまだじゃん」


「・・・・」



玉が遅れている以上、俺達だけで撮影が始まることは決してない
そんなことは藤ヶ谷だってわかりきっているはずなのに



「大倉の事、嫌だった?」


「・・・」





あまり他人とかかわることを好まない藤ヶ谷は、自分たちの楽屋に同じ事務所の先輩とはいえ、他のグループのメンバーが長居することが気に食わなかったのだろうか

俺の言葉に沈黙する藤ヶ谷に再度疑問をぶつける



「なんで」

「そうだよ」



今度は藤ヶ谷が、まっすぐに俺を見つめてきた
その目は、鋭く、冷たい色をしているように見える



「北山さ・・そうやって誰にでも、無駄に愛想振りまいて、へらへらすんなよ・・」

「な」

「見てて、気持ち悪い」

「っ・・」




気持ち悪い

その言葉に・・あの日に、そう思われるかもしれないと覚悟を決めたはずなのに、思わず口ごもる

そんな風に思うなら・・なんでお前は俺なんかとキスしたんだよ
遊びだとしたって・・そんなの違うじゃねーか





「お前だって・・」



そう思うと、抑え込んでいたはずの言葉が自然とこぼれてしまった


「は」


「酔ってる相手には・・誰にでもあーゆーことするわけ?」


「・・・」




藤ヶ谷にそんなことを言っても仕方ないと分かっているのに、勝手に傷ついて、勝手に失望したのは俺なのに、
何故か感情をコントロールできなかった

「お前だって・・酔ったら・・誰にでもキスするんだろ。前、ふざけて玉とチューしたとか言ってたもんな」



そう言って、藤ヶ谷のほうを見たけれど、それを肯定してほしいのか否定してほしいのかもわからずに、震えるように言葉尻は小さくなっていく

俺が干渉することじゃない

俺は藤ヶ谷にとって、ただのメンバーなんだから

わかっているはずなのに

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設定タグ:キスマイ , 藤北 , 藤ヶ谷太輔北山宏光   
作品ジャンル:タレント
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2020年1月7日 21時

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