Ki 4 ページ4
「え、藤ヶ谷も来るんですか?」
思わず予定を告げたマネの顔を凝視した
今度一緒に仕事をする予定のプロデューサーさんと、親睦を深めるという名目で飲みに行くことになった
以前から一緒に行こうと誘っていただいていて、詳しい日程はマネに伝えておくといわれていたけれど
「はい、以前藤ヶ谷さんともお仕事したことあるようで、せっかくなら皆さんでと先方がおっしゃってくださって。藤ヶ谷さんも快諾してくれましたし」
先ほど撮影で会ったときも、昨日仕事で顔を合わした時も、藤ヶ谷は何も言っていなかった
「そういうわけで、北山さん、その日程でいいですよね?」
「あ・・はい、すいません。お願いしますと伝えてください」
それもそうか
藤ヶ谷にしてみれば、ただの仕事のための飲み会
きっと相手がプロデューサーだから断れなかっただけの話だ
たまたま俺がいるっていうだけで、本当は俺と一緒に行くことにも嫌気がさしているかもしれない
俺は、深いため息とともに、スタジオを後にした
楽屋に入ると、俺がマネと話し込んでいたせいもあって、メンバーはすでに帰宅したようだった
ただ一人を除いては
「・・おつかれ」
無視されるかもしれないと思いながら、そのきれいな背中に声をかけた
「・・おつかれ」
低く、俺のほうを見ずに藤ヶ谷はそう呟いた
二人きりの楽屋
それなのに会話はおろか、視線すら交わらない
いつからこんなに距離があいてしまったのだろう
いや、それはもう、俺のせいなんだろうけれど
「なぁ、マネから聞いたんだけど、藤ヶ谷も食事会きてくれるんだって?」
勇気を出して、黙々と帰り支度を進める藤ヶ谷の横顔に声をかける
「あぁ・・」
「言ってくれればよかったのに」
本当は、知ってる
わざと言わなかったんだよな
「藤ヶ谷・・・俺と行くの・・嫌?」
否定してほしいキモチがこぼれて、不意にそんな情けない言葉が口を突いた
藤ヶ谷は、手を止めて、ふと俺のほうを見た
切れ長の目が、少しだけ揺れて、そしてまたすぐにパッと視線を外される
あぁ、やっぱりな
「別に」
「そう・・」
「仕事だから」
何かを期待していたわけじゃない
だけど、ある意味予想通りの言葉を発した藤ヶ谷に、俺の心ははっきりと沈んでいった
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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2020年1月7日 21時