だから、俺の隣で泣いてほしい

F 21 ページ21

なんでお前は・・こんなに俺を、いや、俺だけじゃない
いろんな人間を惹きつけて、こんなにも虜にしてしまうんだ

こんな、色っぽい姿を、ほかの誰かにも見せているのだろうか


もし、俺じゃなくて・・メンバーの誰かが同じようにお前のことを求めたら・・
お前はこうやって黙って身体を許してしまうのか




「藤ヶ谷・・？」



そんな葛藤が頭の中でぐちゃぐちゃになる
北山に汚されたままの手のひらをじっと見つめた


「藤ヶ谷・・？」



北山が、うつろな目で俺を見つめながら、上体を起こした

そのせいで、縮まる二人の距離

見つめ合ったまま、俺がフリーズしたように動けないでいると、ふっと北山が俺の肩に顔を埋めてきた


「え・・・」

「ふ・・じがや・・・・・てよ」

「え・・？」

「俺のナカ・・・きて・・・いいよ」


そういった北山が、震える指先で、キュッと俺の腰をつかんだ



埋めたままの小さな顔

俺の腰にまきついた腕






何・・・何言ってんだよ、

なに、いってんだよ・・お前は







気づけば、怒りに任せて、北山の身体を突きとばしていた


「バカやろ！！ふざけんな！」


ベッドから立ち上がって、先ほど俺自身が脱がせた北山のシャツをひろって
北山に思い切り押し付けた

本当は優しく羽織らせてやりたかったのに
そんな心の余裕、俺にはなかった



「簡単に・・俺なんかに、体許してんじゃねぇよ！！！！」





めずらしく大声を張ったせいで、呼吸が苦しい
肩が大きく上下するのが自分でもわかる


いきり立つ俺の様子を見て、北山は驚いた様にベッドの上で目を丸くしていた



「なにが・・はけ口になるだよ、俺のためならなんでもするだよ・・ふざけんな！！そうやって、誰にでもいい顔すんなよ！へらへらすんなよ！俺以外にも・・求められたら、抱かせるんだろ？そういうとこ、ずっと前からムカつくんだよ！！」



一度口にすると、止まらずに、俺はそう早口でまくし立てた



北山を抱ける唯一のチャンスを、自分で棒に振った

棒に振ったどころか、多分一生嫌われる

だけど・・ふと頭によぎった疑念を抱えたままで、北山を抱くことがどうしてもできなかった



「北山なんか・・・嫌いだ」


かみしめるようにそう呟いて、北山に背向けた
哀しいのか、虚しいのか、自分でもわからないまま、目の奥が熱くなっていくのを感じた

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