side F ページ47
「お風呂。入っておいでよ」
埃と、土にまみれた上着を脱がせてやって、バスルームへ案内すると、
潤んだ大きな瞳が上を向く
「ふ、じがや・・」
「もう、怖くないから。あったまっておいで」
そういって、柔らかな髪をなでてやると、北山は静かにコクンと頷いた
シャワーの滴る音を聞きながら、北山の着ていた服を洗濯機に入れた
新しいバスタオルと、新品の下着とスウェットを引っ張り出して、バスルームの横の棚に置いてやる
「お湯・・大丈夫？」
「ん・・サンキュ」
ふいに、北山の様子が気になって、ドア越しに声をかけた
今日は・・大丈夫
過去の記憶から、そう自分に言い聞かせた
否が応でも、あの日を思い出す
あの日の様に、怯えた表情の北山をみて、胸の奥がキリッと痛んだ
「・・ありがと」
「っ・・」
風呂から上がった北山の、姿が、俺の目を釘付けにした
「お前・・それ・・」
思わず、北山の肩をつかんで引き寄せた
「なに・・があった・・」
首筋に、くっきりと残る赤いあざ
俺のTシャツを貸したせいで、ゆるく開いた首元は、鎖骨のあたりまでくっきりと残った
内出血のあとを、はっきりと見せつける
「っ・・・・わかんねぇ」
「え・・」
「見たこと、ない男に、つけられてて・・・」
「っ・・」
「いきなり、俺・・後ろから・・」
震える声で、俺の方に、顔を埋めるようにして、頭を預けてきた北山を、思わず抱きしめた
「もう・・いわなくていいっ・・」
それ以上は、俺の心が持たない
腕の中に収めた北山はいつもよりもひどく小さく感じられて、ぎゅっと抱きしめた
キツク、抱きしめたら、壊れそうで、大事に、ゆっくりと抱きしめれば、北山はその手でキュッと俺の洋服をつかんできた
「もう・・大丈夫だ・・」
それは、自分にも、言っているようで、
俺のほうを見て水滴をためている大きな瞳を見つめながら、頬を撫でた
そっと、親指でその唇を撫でる
「藤ヶ谷・・だめ・・・だ」
その、赤い唇が、小さく震えた
「アイツら・・辛いときに・・俺だけっ・・」
その、震える身体を、俺が守りたいと思った
小さな頭を抱えるようにして、そのままソファにゆっくりと押し倒した
「俺だけっ・・お前に頼るなんてっ・・」
「黙って」
泣き出しそうな顔で、表情をゆがめた北山の口を、自分の唇でふさいだ
漏れるのは、互いの熱と、吐息だけ
それ以外は、聞かない
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ピンクピーチ(プロフ) - えみさん» ありがとうございます^_^まだ序章ですが、これからもドキドキハラハラしていただけるよう更新していくので、お楽しみくださいませ！！ (2019年9月22日 11時) (
レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
えみ - ハラハラもあり恐怖感もあり、すっごく気になるお話ですね！！おもしろいです！！続き楽しみにしてます(*´∇｀*)応援してます！！！ (2019年9月22日 1時) (レス) id: 593c5b68c6 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - 北山アマージョさん» ハラハラしながら、楽しんでいただけたら嬉しいです^_^以前から、お気にかけて下さりありがたいです！！これから、本編も盛り上がって行くので、引き続きよろしくお願いします^_^ (2019年9月20日 22時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
北山アマージョ(プロフ) - こんばんは！今までとは趣きの違うお話しハラハラします！怖いですが、楽しみにしてます！以前も何度もリクエストさせて頂いてたんですが、ニックネーム変えてしまったのですみません。 (2019年9月20日 21時) (レス) id: eca4a61663 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピンクピーチ
| 作成日時：2019年9月12日 17時
