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side Ki ページ48

「んっ・・」

「いいから・・もう、黙ってて」

迷いのない藤ヶ谷の瞳、一言も発さぬままで、貪るように唇を合わされた

くちゅっと、互いの蜜が音をたてて混ざり合う


「はぁ、んっ・・」

矛盾しているのは俺のほうだった

藤ヶ谷に頼ってはいけないと思っている反面、その長い腕に抱きしめられて、柄にもなく安心して泣きそうだった

よく知っているはずの甘い香りは、俺の心を落ち着かせて、ささくれだった気持ちをほぐしていく

こんな日は、アイツに抱きしめてほしかった



「だめ・・」



そういった気持ちは、アイツらの顔が、脳裏をかすめたから



一年前のあの日の様に、壊れそうな心ごと抱いてほしい

そう、言えれば楽なのに


ふと、横尾さんの冷たい目が、脳裏に浮かぶ



『太輔と、なにがあったの?』



二人だけの秘密は・・

もしかしたら、他人を、いや、大事な仲間を、傷つけているのかもしれない



藤ヶ谷との、二人だけの秘密が増える度、苦しくなる
苦しいけれど、甘い、俺達の罪の意識は、麻薬の様に俺を苦しめる

苦しいのに、その先が欲しいと思う




少しだけ、藤ヶ谷に抵抗してみせると、

その抵抗を厭わないように藤ヶ谷は俺にキスを降らせてきた

残った赤いあざを覆い隠すように、唇を這わせて、キツク吸い付かれた

恐怖の記憶が、藤ヶ谷によって、甘く変えられていく


全てが、藤ヶ谷の痕になっていく


「これ以上・・は・・だめ・・」



重なった唇を、何とか引きはがして、俺の真上で切なく眉を寄せた藤ヶ谷の細い身体を押し返した



「・・きたやま・・」

「ダメだよ・・まだ」

「お前・・壊れそうで・・俺が・・」


藤ヶ谷は、俺の頬に手を添えると、ガラス細工を扱うかのように優しくなでた


「俺、怖いんだっ・・・」



その、表情に、俺の、心が軋んだ



「っ・・」

「じゃぁ、せめて・・一緒に居させて」



そういうと、藤ヶ谷は、俺を抱き上げて、そのまま寝室へと運んだ

藤ヶ谷から薫る甘い香りが一層濃くなって、柔らかなシーツの上に寝かされる
きゅっと切なく唇を結んだ藤ヶ谷が、俺の首筋に顔を埋める


「ダメ・・だ、って・・」



首筋をなぞるように、藤ヶ谷の舌がゆっくりと這う


「はっ・・ん・・・」

「北山、感じてるくせに・・」


「でも・・ダメっ・・全部・・終わるまで・・」

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ピンクピーチ(プロフ) - えみさん» ありがとうございます^_^まだ序章ですが、これからもドキドキハラハラしていただけるよう更新していくので、お楽しみくださいませ!! (2019年9月22日 11時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
えみ - ハラハラもあり恐怖感もあり、すっごく気になるお話ですね!!おもしろいです!!続き楽しみにしてます(*´∇`*)応援してます!!! (2019年9月22日 1時) (レス) id: 593c5b68c6 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - 北山アマージョさん» ハラハラしながら、楽しんでいただけたら嬉しいです^_^以前から、お気にかけて下さりありがたいです!!これから、本編も盛り上がって行くので、引き続きよろしくお願いします^_^ (2019年9月20日 22時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
北山アマージョ(プロフ) - こんばんは!今までとは趣きの違うお話しハラハラします!怖いですが、楽しみにしてます!以前も何度もリクエストさせて頂いてたんですが、ニックネーム変えてしまったのですみません。 (2019年9月20日 21時) (レス) id: eca4a61663 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年9月12日 17時

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