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side M ページ18

「横尾さん大丈夫かな・・」



俺が呟いた言葉に、玉が顔を上げた

収録が終わっても、いつものような楽屋の明るさはなく、自然と言葉を発さないまま、みんながそれぞれ楽屋を後にした
なんとなく、玉を一人にするのが怖くて、強引に玉のマンションへ一緒に帰ってきた


過保護だととなんだといわれても、心配は心配だ



「玉・・気を付けてね」

「・・おまえもな」



不安そうに、俺が下を向くと、玉が俺の頬をつねった


「大丈夫だよ・・偶然落ちたのかも。ほら、ADさんってカッターとかハサミ持ち歩いてるし」

「そう・・かもね」




玉の発言に、とりあえずで相槌をうつ

本当はそんなことないってわかりきっていた


偶然カッターの刃が魚に刺さる?ありえない



だけど、ここで不安を煽って玉を傷つけたくない一心で俺は笑顔を作った

誰かが俺たちに何かをしようとしている

姿の見えない恐怖が、俺の心に影を落とした




「な・・泊ってく?」


玉が、珍しく、俺の様子をうかがうような目を見せた

わかってる、不安なんだって


「うん」


その目を、まっすぐに見返して、押し入れに入れてある客用布団に手を伸ばした





「なぁ、玉・・」


「なに?」


「ごめん・・なんでもない・・あ、シーツこれでいい?」



言いかけた言葉を飲み込んだ



『まさか、これ以上続かないよね・・』



そう言いかけた

そして、その不安を煽るような余計な一言を押し込んだ




口に出してしまったら、次があるような気がして不安だったから





窓から見えた夜の街灯に、夜光虫が集まってくる
なんだか、よくある光景なのに気味が悪かった



「玉・・大丈夫だよ」



この言葉を自分にもいいきかせた



俺達は・・大丈夫





少しづつ、蝕まれていくような恐怖

その恐怖が、次は、俺のそばまで来ていることに





俺はこの時気づかなかった

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ピンクピーチ(プロフ) - えみさん» ありがとうございます^_^まだ序章ですが、これからもドキドキハラハラしていただけるよう更新していくので、お楽しみくださいませ!! (2019年9月22日 11時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
えみ - ハラハラもあり恐怖感もあり、すっごく気になるお話ですね!!おもしろいです!!続き楽しみにしてます(*´∇`*)応援してます!!! (2019年9月22日 1時) (レス) id: 593c5b68c6 (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - 北山アマージョさん» ハラハラしながら、楽しんでいただけたら嬉しいです^_^以前から、お気にかけて下さりありがたいです!!これから、本編も盛り上がって行くので、引き続きよろしくお願いします^_^ (2019年9月20日 22時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
北山アマージョ(プロフ) - こんばんは!今までとは趣きの違うお話しハラハラします!怖いですが、楽しみにしてます!以前も何度もリクエストさせて頂いてたんですが、ニックネーム変えてしまったのですみません。 (2019年9月20日 21時) (レス) id: eca4a61663 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピンクピーチ | 作成日時:2019年9月12日 17時

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