僕ハ君ガイテ愛ヲ知ル

F 9 ページ9

北山とは、ジュニアの頃からの付き合いだ

互いにもっとずっと幼かった俺たちの関係性は、はじめの頃は、今とはまた違ったものだったと思う

3兄弟の長男として育った俺は、お兄ちゃんができたような感覚で、北山の後ろをちょこちょこついて回っていたような時期もあった

バックとして先輩たちの後ろにつかせていただいていたときは、よく相部屋になって、お互いの夢を語り合ったりもした

他愛のない話をして、笑い転げたりもした

口先では生意気を言っても、あの頃の2つ上は、だいぶ大人に見えて、
くだらないちょっかいをかけては、アイツに構ってもらえることが嬉しかったんだと思う

アイツには、俺
俺にはアイツ

そう、思っていた



アイツが横にいてくれることで、安心できた
恥ずかしいから、一度も直接伝えられたことはないけれど

だけど、その一方で、アイツにだけは弱音を吐けない自分がいて、あの背中に、置いていかれるのが怖くて、背伸びしていたのかもしれない




デビューが決まって、背中合わせの関係性を求められることが多くなってからは、アイツとの距離のとり方に戸惑うことが増えた

自分の心の中では、二人の距離感は変わっていないはずなのに、オフィシャルに求められる自分たちの姿と、本来の自分の気持ちの乖離を感じ始めてからは、オフでも気が抜けなくなってしまって

アイツとの、何気ない会話にすら変に意識して、うまく口が回らない

昔を思い出すと、余計に変な力が入る

自分でも、何にもがいてるのかわからなくなるときがあって…

だけど、そんなことを思いながらも、デビューして、はや8年目、キスマイとしても、二人でもいろんな仕事を経験させてもらえて、いくつもの曲もやらせてもらえ、昔よりも大人になった俺達は、また少し違った関係性を築いていけると感じていた


目に見えたり、言葉で言えるような、簡単な関係性じゃない、もっと深いところで繋がっているはず

そう思っているぶん、その思いに甘えて、
ちゃんと言葉に出して感謝を伝えることが、疎かになっているのかもしれない


思春期の子供じゃあるまいし…と自分でも情けなくなることが多々ある割に、
やっぱり、その一歩が踏み出せない俺がいて、


もう少しだけ、素直になれたら楽なのに

そう、思っている

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