パパが治してあげようね *ARS* 7 (ページ37)

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みんなの宝物　12 ページ37

和也Side

「わたしっ…まちがったことっ…してない?
ゆいに…めーわくっ……かけてない?」

Aはよく、頑張ってると思う。

ゆいちゃんがここまで成長できたのは
まぎれもなくママの力があったからだ。

和「ゆいちゃんはさ
歯が生えてくるのも遅かったよね。

周りの子はみんな歩いてるのに
ゆいちゃんはまだハイハイしてた。

でもさ、今はピカピカの歯が生えてて
元気に外を走ってるよね?」

「んっ…うん…」

和「ちょっと遅れちゃっても
ちゃんとみんなと同じになってるんだよ。

成長の仕方は人それぞれって言ったよね?
早い子もいれば、のんびりさんもいる。

Aが悪いんじゃなくて
それがゆいちゃんのペースなんだよ」

「ちがっ、わたしがっ…」

和「んーん。違くない。
ゆいちゃんは、一歩一歩進んでるの。

それを大人が早くしなさい!!って
背中をドンって押したらさ、ゆいちゃん転んじゃうよ?

自分のペースでさ、歩かせてあげようよ。
ママは疲れちゃったゆいちゃんを励まして、
ちゃんと歩けるようにお手伝いしてあげたらいいよ。ね?

どう? そう思わない?」

「おそくて……いいの?
おかしく……ない?」

和「おかしくないよ?

俺のところにも、うちの子もう2歳にもなるのに
まだ歩けないんですって心配する
お母さんがきたりするけどね。

そういう子も
みんなちゃんと歩けるようになってるから。

だいたい1歳過ぎたくらいから
歩けるようになるっていうのが普通になってるよね。
母子手帳に書いてあったりもするし。

でもそれは、平均的なことでしょ?
そこに当てはまらないからおかしいとか、
病気だとか、そういうことはないの。

他の子ができることがゆいちゃんにはできなくて
焦る気持ちもわかるけど、
もうちょっと長い目で見てやってほしいな。

やっぱりのびのびと育ってほしいじゃない?」

「ん……ん……」

和「ね。俺らはさ
ゆいちゃんなりの成長を楽しんでいこうよ。

子育ての醍醐味でしょ?
こんなことできるようになった!!
あんなことできるようになった!! ってさ。

見守っていこう?
誰に何と言われようと、結心は結心だよ。
他人と比べる必要はない」

俺の言葉にコクコクって
何度もうなづきながら話を聞いてくれたA。

俺が笑いかけるとAも小さく笑ってくれて、
ゆっくりやっていこうねって頭の上にぽんって手を置いた。