松岡先生のお説教 10 (翔) ページ22
翔Side
翔「迷惑をっ…かける、と…おもってまし、た……
……でも、結果的に……
よけい、に……めいわっ、く……」
涙を抑えながらだと声が震えてしまって、
上手く言葉にならない。
チラッと見た松岡先生は腕を組みながら
眉間にしわを寄せていて、
睨みつけるように俺のことを見つめていた。
松「翔が体調悪いって知っていたら、
もっとサポートできたかもしれないだろ。
何事もなく検査を終えられたのは、
今回は運がよかっただけ。
一歩間違えば、お前が患者さんを
死なせてしまうことだってあるってことだ。
いいか?」
翔「……は、い」
松「きちんと判断できるようになれ」
翔「……はい」
松「もっと周りを頼れるようになれ」
翔「……はい」
松「反省したか?」
翔「はい」
松「今度からまっちゃん助けて、って言えるか?」
翔「はっ…はい?」
松「ふっ。まぁ、それは冗談だ」
なに? どういうこと?
急な態度の変化についていけない…
松「泣くほど怖かったか?
鬼の松岡だからなぁ。まぁ仕方ない(笑)」
翔「あ、あの……どういう……」
松「お前が兄貴の言うことを全然聞かないっていうから、
俺が代わりに怒ってやったんだよ。
これくらいの方が効いていいだろ?」
そ、そういうことだったのかぁ…
まぁいろいろ考えさせられたし
本気で反省もしたし
もう同じ過ちはしないって思えたし
それは心から感謝してますけど…
松「翔にだって、
周りの助けが必要なときがあるだろ?
もちろん頼り過ぎはダメだけどな。
でも、頼らなきゃいけないときを
見極めて決断できるのは大事なことだ。
それで俺の仕事が増えたとしても、
それは迷惑でもなんでもない。
わかったね、翔くん。
もう鬼の松岡に泣かされたくなかったら、
よく考えて行動しなさい。
頭いいんだから、できるだろ?」
久しぶりに見た気がする……
松岡先生の笑顔……
頭をわしゃわしゃと撫でてくれる手に安心する…
翔「……ありがとうございます」
松「えっ、なに?
もっと撫でてほしいって?
じゃあ頭出しなさい。いくらでも撫でてやる。
それともほっぺたがいいか? ほれ」
翔「うぅ〜…やめへくらはい!!」
さっきまでガチガチだった頬が緩んで
身体からも力が抜けてくる。
俺、松岡先生の後輩でよかったです。
鬼の松岡は…ちょっと恐すぎるけど…
でも、怒ってくれる先輩がいて、俺、幸せ者です。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年6月29日 14時
