長男の涙 3 (智) ページ3
智Side
智「おぉっ、熱下がったね〜
お腹の方も大丈夫?」
翔「うん。完全復活!!
お腹の調子も絶好調!!」
智「ふふっ。元気だねぇ。よかった。」
翌日の朝には顔色もよくなった翔。
完全復活…とまではいかないだろうけど、
もう心配はなさそうだ。
翔「智にぃのおかげだよ。ありがとう。」
翔のストレートな言葉に、なんだか身体が痒くなる。
いや、嬉しいんだけどさ。
朝からそんなキラッキラな笑顔で見つめられると…ねぇ(笑)
智「今日はもう出勤するの?」
翔「そのつもりだけど……
大丈夫だって。今日はオペも入ってないし。
外来だけだから。」
智「そう。あんまり無理はしないでね。
もしまた具合が悪くなったら…」
翔「わーかってるって。
そのときは休憩取るよ。」
そう話している最中にも、
翔はパジャマを脱いでシャツに腕を通し始めている。
ちょっと心配だけど、これだけ元気なのに
仕事を休ませるわけにもいかないもんね。
翔「じゃ、いってきまーす。」
智「はい、いってらっしゃい。気を付けて。」
笑顔で家を出て行った翔に、
手を振って見送った僕。
この日、休みだった僕は、
そのまま自分の部屋に直行した。
ドアを開け、すぐさまベッドに倒れ込む。
智「あぁ……ふぅ……」
目を閉じて深呼吸をしてみるも、
何も変わらない。
朝、目玉焼きの焼かれるにおいを嗅いでから
治まらない腹部の違和感に、僕は嫌気がさしていた。
こんなふうになったのは、いつからだったか……
翔が寝込む前からってのは確かだ。
無理やり詰め込んだせいで、
胃の中に入ったものが押し出されそうで気持ちが悪い。
そんなに量はなかったんだけどな……
皆に怪しまれない程度には食べたけど、
腹8分目もいってないくらいだ。
「智にぃ。……あ、寝てた? ごめん。」
智「ん? 寝てないよ。なあに?」
部屋に入ってきたAが
すぐに引き返そうとするのを止め、身体を起こす。
どうやらゆいちゃんの機嫌が悪いらしく、
おでこを触ったら少し熱かったとのこと。
風邪でも引いちゃったのかな…
僕が休みでよかった。
今日は一日、ゆいちゃんのこと看ててあげよう。
「ごめんね…今日、ランチ行く約束してたのに。」
智「いいの、いいの。またいつでも行けるから。」
そうだ…せっかくの休みだからって、
Aと出かける予定だったんだ…
でも、中止になってよかったな。
今の僕に、外食はつらすぎる…
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年6月29日 14時
