足の怪我 12 (潤) ページ36
智Side
釣りを開始して数十分。
順調に釣れてはいるけど、
釣り初心者ばかりの我が家。
やっぱりトラブルや失敗も多い。
隣同士の釣竿の糸が絡まっちゃったり、
針が服に引っかかっちゃったり…
翔「えっ、これどうすんの!?」
あそこでもまた、何かあったみたい。
翔「こらっ。もっと大きく口開けろって!!」
和「いやいや。もうそれで全開だから。
あーあー。苦しくて暴れちゃってるよ。
可哀想に。もっと愛護的にやってあげなさいな。」
翔「いやぁ無理だろ、これ。
奥すぎるんだよ。全然見えない。」
和「無理やり指入れるからでしょ?
もっとこうさ、指を縦にして…」
翔「あぁー、もう めんどくさい!!
鉗子もってこい!!」
和「ふふっ。不器用(笑)」
どうやらお魚さんが針を飲み込んじゃって、
なかなか取れないみたいだね。
普段はかっこよくスパッと手術しちゃうのに、
なんでこういうことさせると、不器用になるかな(笑)
散々弟に指示されて、
結局最後には和に取ってもらってるし。
っていうか、和。
お魚触れたんだね。
苦手だと思ってたけど、
楽しさが紛らわせてくれてるのかな。
潤「みんな、楽しそうだね。」
智「そうだね〜。来てよかったね。
潤も向こう行ってみる?」
潤「んーん。いいよここで。
俺はみんなを見てるだけで楽しいから。」
2人でイスに座って地味に釣りをしていたから
飽きちゃったかなと思ったけど、
みんなを見つめる潤の横顔が本当に楽しそうでほっとした。
潤「あっ、見て、智にぃ。」
智「ん? …あっ(笑)」
潤が指さした先にいる、翔と雅紀。
と、頬を膨らませて
腰に両手をあてているゆいちゃん。
怒っているゆいちゃんに、
2人はぺこぺこと頭を下げている。
潤「智にぃのお説教、効いたみたいだね。」
智「ふふっ。違うよ、お勉強。」
雅紀の背中を押して、
池に落とすフリをした翔。
それをふざけてやり返した雅紀。
それを見たゆいちゃんが、
めっ、よ!! って注意していた。
潤「どっちが大人なんだか(笑)」
智「ねぇ(笑)」
僕の言葉、ちゃんと覚えててくれたんだなぁ。
翔と雅紀も、いい勉強になったね。
潤「ねぇ智にぃ…」
智「ん?」
潤「俺の怪我も、無駄じゃなかったね。」
智「そうだね〜」
こっちに気付いて、
僕らに手を振っているゆいちゃん。
また一つ、お姉さんになったゆいちゃんに、
潤はグッドマークを見せながら微笑んでいた。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年5月17日 17時
