絶対安静 1 (和) *リク ページ1
智Side
夜中、一人でソファーに座って
コーヒーを飲んでいるときだった。
智「うわぁっ!! えっ・・えっ?」
ドアの向こうからものすごい音が聞こえて、
慌てて後ろを振り返った。
手に持っていた黒い液体が服にかからなくてよかった、
なんて思いながら廊下をのぞくと、
そこでは予想外のことが起きていて・・・
智「かずっ!!」
和「うっ・・っ・・んんっ・・」
階段の下で倒れている和は
仰向けで荒い呼吸をしながら顔を苦痛で歪めている。
ついさっきまで部屋で寝ていたのに・・・
智「かず!! どうしてっ・・・」
和「んっ、うっ・・・さと、にっ・・いなっ、んっ!!」
智「あっ・・・」
体調を崩した和を、寝かしてやったのが数十分前。
グングンと上がっていく体温に
今夜は寝ずに看病しようと決め、
眠気を覚ますためにコーヒーを飲みながら一休みしてたんだ。
ぐっすり眠って起きる様子がなかったから
いったんリビングに戻ってきたんだけど、
それがいけなかったようだ。
高熱で寝込んでいる和は、
僕の姿が見えないのに気付いて、不安になったのだろう。
足元もおぼつかないのに。
ボーっとして焦点すら定まっていなかったのに。
そんな状態で一人で出歩けば
危険なことくらい普通はわかりそうなもんだけど、
和にはそんな余裕はなかったんだろうな。
僕がずっとついててやればよかった・・・
和「さとにっ・・・」
智「うん。いるよ。
ごめんね・・・探しに来てくれたんだよね。」
和「さとにっ、いるって・・んんっ」
智「うん。ずっといるって約束したのにね。
ちゃんとここにいるから、じっとしてようね。」
僕を求めて手を伸ばしてくる和の手を握ってやって、
動こうとする身体をそっと押さえた。
どのあたりから落ちたのかはわからないけど、
あの衝撃音からして、一段や二段ではないことは確かだ。
今まではなぜ和がこうなったのか、
ってことばかり考えていたせいで気付かなかったけど、
和の額には大量の汗がにじんでいる。
それは熱によるものなのか、
それとも、痛みによるものなのか・・・
激痛に耐えているのだとしたら、
それがどこからきているのか、早く特定してやらないと。
智「ちょっとだけ手離すね。」
一気に焦りを増していく僕の心臓を落ち着けるように、
一度立ち上がって全体を見渡す。
ひとまずは、出血していないことがわかって、ホッとした。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年5月17日 17時
