膀胱炎 5 (翔) ページ16
翔Side
『あっ、コーくんおかえり〜。』
病室に戻る途中、
ナースステーションの前で、看護師さんがお出迎えしてくれた。
楽しかった? と聞く看護師さんに、
コーくんは満面の笑みで頷いている。
よかった・・・楽しんでくれて。
看「先生、ありがとうございました。
ほらコーくんもお礼言って?」
浩「せんせー、ありがと!!」
俺を見上げながらニコニコと笑っているコーくんが可愛くて、
しゃがみこんで思いっきり頭を撫でてやった。
また散歩に行こうと約束して、立ち上がったその時・・・
翔「うっ・・・っ・・・・・」
完全に油断してた・・・
激しい目眩にクラクラする・・・
浩「せんせ・・・どーしたの?」
翔「はぁっ・・・はぁっ・・・」
身体がふらふらして立っていられない・・・
手で目を覆って耐えてみるものの、
近くに手を付けるところもなく、徐々に身体は傾いていった。
浩「せんせー!!・・・せんせー!!」
ガクッと膝をついて倒れた俺に、
コーくんの叫び声が微かに届く。
大丈夫って言いたいのに、声は出てこなくて・・・
何人もの看護師に囲まれて
身体がフワッと浮いたところで、俺の記憶は途切れた。
.
しょ・・・・
しょ・・お・・・・
しょお・・・・
どれくらいたったのだろう・・・
意識の遠くで誰かの声が聞こえて、俺はそっと目を開けた。
翔「ぅ・・・・・んん・・・・」
智「あっ、起きたね〜」
翔「ん・・・な、んで・・・・ここ・・・」
目に入ってきた景色は、見慣れたものだった。
いつもの天井、いつもの布団、
いつもの・・・智にぃの顔。
智「もう、びっくりしたよ〜
松岡先生から連絡もらってさぁ。
大勢のナースの前で倒れるなんて、
運がいいんだか悪いんだか(笑)」
・・・あ、そうか。
俺倒れたんだ・・・
ナースステーションの前でクラクラしてきて・・・
あれ、その前は何してたんだっけ・・・
夜勤終わって、約束があったから・・・
・・・散歩
・・・石蹴りして
・・・コーくんと・・あっ!!
翔「コーくん!!」
やばい!!
俺、コーくんの目の前で倒れたのかよ!!
もう心配かけないとか言っておいて、
俺、何やってんだ・・・
あぁー!! バカ!! 俺のバカ!!
今すぐ、会いに行かなきゃ。
何ともないって、大丈夫だって、伝えに行かなきゃ・・・
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作者名：ちさ
| 作成日時：2013年3月23日 18時
