胃腸炎 11 (雅・和) ページ43
智Side
翔「はい、雅紀。バンザイして。」
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後から来た翔に雅紀を任せて、僕は和の背中をさすり続けていた。
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なかなか顔色がよくならないけど、
だんだんと吐き気は治まってきたようだ。
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和「あっ!! やっだっ!! んんー!!」
智「ちょっ・・かず、お洋服着替えるだけだから。」
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えずきも止まってきたところでいったん洗面器を顔から外し、
上着を脱がそうとファスナーに手をかけたわけだけど・・・
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和「んーんーー!! いやだっ!!」
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翔「おいおい、どうした・・・」
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急に僕の腕の中で暴れだした和に、翔も僕も困り顔。
さっき苦しい思いをしたせいで不安になっているんだろう。
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いつものイヤイヤ病が発動しちゃったねって、翔と2人で苦笑いした。
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智「ほら和、和のお気に入りのトレーナー。ね?
こっちに着替えよう。」
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和「い・・や・・ぁっ・・ｹﾞﾎｹﾞﾎｯ・・うっ・・うぇっ・・ｹﾞﾎｯ」
智「おぉ・・・いいよ、和。吐いちゃいな。」
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暴れている和が急に静かになったと思ったら、
身体にグッと力が入って背中が波打った。
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和「んっ・・うぇっ・・っはぁ・・ﾊｧ・・ﾊｧ・・」
智「うん、そうそう。
出せば楽になるから。我慢しないでね。」
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すぐに洗面器を口元持ってきて、少し強めに背中をたたいてやると、少しは吐き出せたようだ。
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真っ青だった顔に赤みが戻る。
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智「もう出ない?
よし、よく頑張ったね。
ちょっとお口拭こうか。」
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イヤイヤと首を横に振って逃げようとする和の顔を軽く押さえて口を拭いてやっていると・・・
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雅「んぅっ!! ｯｸ・・ｹﾞﾎｹﾞﾎ・・んっ・・おぇっ・・ｹﾞﾎｯ」
翔「おっ!! ・・・っと、危ない。
智にぃ、ちょっとそこの袋とって!!」
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いきなり吐き出した雅紀の顔の前に、翔が間一髪タオルを広げた。
雅紀まで吐いちゃったかぁ。
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これだけすぐに吐き出したところをみると、
ずっと気持ち悪いのを我慢してたのかもしれないね。
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今の雅紀はやけにしっかりしてるから、
和が苦しんでるときに自分まで吐いてなんていられないって思ったのかもしれない。
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“ごめんなさい・・・”
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苦しさで目に涙をためながらそう小さくつぶやいた雅紀が、なんだか悔しそうな顔をしていて、
僕も翔も、“大丈夫だよ”って熱くなった身体をさすってやった。
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作者名：ちさ
| 作成日時：2012年12月8日 20時
