ルージュの指輪 (ページ5)

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「幼馴染やから今更恥ずかしいだけちゃうの。」
「でも肝心なとこやん。言わんとかある？」
「恋人ごっこ、なんやろ？」

「まぁ、そやけど。」

本人に"恋人ごっこ"とは言われてない。だから私だけが勘違いしているのかもしれないけれど。でも、本気だったらこんな曖昧で良いはずがない。

「でもプリンス道枝やしなぁ。拗れてそう。」
「プリンス道枝ってなんなん。」
「え？高校時代のあだ名。」
「知らんのやけど。」

そりゃ、本人の前では言わんやろ。と笑う彼女は高校からの親友。入学した時から「2人付き合ってるん？」と大声で聞いてきた猛者である。

「プリンスはツンデレ、なんやろ？」
「って、長尾くんが言ってた。」

「あぁ、笑顔の貴公子ね。」
「貴族にすんの好きやな。」

「まぁでも、Aの前ではデレデレよな。プリンス。」

デレデレ、なのか。
第三者からはいつも言われるけれど、自覚はない。
というかあれがデレデレなら世間一般の人のデレはデレデレデレなのでは？そもそもデレってなんだ？

「で、アンタもなんで"恋人ごっこ"続けてるん？」
「切り出すタイミングを逃した。」

「何を。正式に付き合おうって？」
「いや、逆よ。もう付き合ってくれんでええよって。」

「…え、それはプリンスに同情するわ。」

とは言われても。
私は彼に対する気持ちが、恋愛感情とは思えないから。
親友に対するライクと同じなんだ、恐らく。