ルージュの指輪 (ページ4)

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「ごめん。」
「…何が。」
「あの時、言ったこと。」

謝るなんてどんな風の吹き回しか。
今更優しくも出来ないと思っていた私は、彼の方を向くこともせずに。ただ、冷たい言葉をぶつけた。

「Aの気持ち考えてへんかった。ごめん。」

生憎、彼が立っているのは校門の方だった。
嫌でも顔を合わせないと帰れない。だからしょうがなく許すことにしたんだ。

「…ありがとう。」

その時の顔だけは、今でもはっきり覚えている。
むず痒くて、照れくさいあの気持ちと一緒に。

それからは付かず離れずの関係に戻ったのに、
"恋人ごっこ"を始めてから彼は妙に近い。

「A、帰ろ。」
「え、なんで。」

「帰る場所一緒やねんから。」

何処へ行くにも一緒という訳では無いけど、登下校の時は
必ず駿佑が隣にいるようになった。

そして祭りや誕生日、クリスマスなどの行事も必ず二人で過ごした。中学の時に作れなかった思い出を埋めるように。

嫌という訳では無い。
ただ、疑問だけが募っていく。

…私は彼に「好きだ」とは言われていない。