ルージュの指輪 (ページ6)

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「てか貴公子に会ったん？」
「そう、最近。長尾くん、駿佑と大学一緒やし。」
「プリンス嫌がりそうやな。」
「帰りめっちゃ不機嫌やった。」

会わせたのは自分のくせに目つきは悪いし、拗ねるし。
長尾くんは気を遣って早めに切り上げてくれた。
彼は慣れてるようだったけど。

「でもあの子彼女おったやろ。」
「そう！社会人のめっちゃ綺麗なお姉さんやった…」
「年上彼女かぁ、ぽいな。」

写真を見せながらニコニコする長尾くん、眩しかったです。「長尾くんって幸せを体現したような子やんな。」って言ったら余計口聞いてくれへんくなった。

「あ、」

「二人ともお疲れ。」
「道枝くんもいつもご苦労様。」
「いやいや。」

「じゃあね、A。」
「うん。また今度。」

「…帰ろか。」
「うん。」

帰り道が同じなのは、帰る場所が同じだから。
それが未だに続いているのは彼のポリシーなのだろうか。
隣とまではいかないけれど、同じアパートの同じフロア。

この距離感でいられるのは、いつまでだろう。