【黒子のバスケ】少女は少年に恋をした【赤司征十郎】

傍に居てよ ページ17

【赤司side】

Aの顔色が悪い。

昨日の比じゃない。

話しかけたい。“大丈夫か”って、聞いて――
聞いて、どうするんだ…？


俺は、何で、こうも無力なんだ…。


「ねぇ、大丈夫？」
貴「平気、大丈夫。」
「…そうは見えないけど…。」

話しかけるな。

話さないで。

俺を見て、俺と話して、俺を想って、なんて＿＿＿＿

赤「……。」
Aの名前を呼びかけて、口を閉じる。

＿＿言えないけど。


「平気でもさ、やっぱ保健室行かない？
俺から見たら全然平気そうに見えないし。」
貴「……うん。分かった。」

どこに行くの？
行かないで、俺をおいて行くな。

傍にいて、って、言ったじゃないか。

貴「ぁ…」
赤「！」
「危ない！」
立った時、足に力が入らなかったのかAがよろける。
慌てて手を伸ばす。

けど、この手は意味がなかった。

Aの隣の席の奴が支えたから。

貴「ごめん。」
「もー、全然大丈夫じゃねぇじゃん。無理する必要とかなくね？」
貴「……うん。でも、…何でもない。」
「？ 行くよ？ほら、引っ張ってってやるから。」

何で抵抗しないんだ。

俺が代わりに連れてくから、今すぐそいつの手を振り払って、俺の手を握ってよ。

Aを見上げると、丁度Aもこっちを見ていた。

視線は、いつもと変わらず逸らされた。

自分の無力さに、自然と溜息が出た。

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