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退院当日。
一応 退院祝いとしての花束を持って病院に行くと、めっちゃ沢山の花束を抱えたA。
…そういやこいつ、看護師さんと無茶苦茶仲良うなってたもんな。個人的に色々もらったんやろうな…
今更絶対こんなん要らんやろ、捨てたろかな と肩に担ぐように持っていた 花束をどうしようかと考えていると、後ろから あぁっ!!という聞き覚えのある声が聞こえる。
「 っんだよ…びっくりしたなぁ、坂田 」
「 やっほー、まーしぃ なんか久しぶりやね 」
「 まぁ、見舞いの時間帯違ったしな。で?なんで叫んでたんだよ 」
「 退院祝い買うの忘れた… 」
「 アホなんちゃう? 」
多分、Aはお前からのを一番心待ちにしてるだろうに。…いや、普通 退院祝いって期待するもんなのか?よう分からんけど。
俺はひとつ はぁ、とため息をつくと 持っていた花束を ほら、と坂田に押し付ける。
「 え、な、なに? 」
「 俺、花束とか渡す柄ちゃうし 坂田から渡してくれ 」
「 え、でも… 」
「 ええから 」
坂田のイメージカラーの赤系を主に作ってくれた 花束だ。坂田が渡しても違和感はないやろうし、俺なんかに渡されるより遥かに喜ぶだろう。
少し離れたところで わちゃわちゃやっていると、Aが俺らに気付いて ぶんぶんと手を振りながら 松葉杖を上手く使って すごいスピードで近付いてくる。
「 来てくれたん!! 」
「 まぁ、ずっと見舞いに来てたわけやし一応な 」
「 俺は約束通りこれからご飯食べいくもんね。あ、そうだ これ… 」
「 ん?あ、花束!! これ坂田が? 」
「 や、これ… 」
「 せやせや、坂田がお前にって 」
坂田の言葉を遮って そういうと、坂田が驚いた目でこっちを見る。なんで こんな…嬉しそうに目を輝かせている彼女に向かって、どうでもいい俺から なんて言わなきゃいけないのだ。
ありがとう、と 嬉しそうに笑いながら その花束を幸せそうに眺めてから ばっと俺の方に顔を向けるA。なんだよ、と問うと 志麻は?と。
「 何が 」
「 退院祝い!持ってきててくれてもええんちゃう? 」
「 わざわざ俺がここに来たってことが退院祝いや 」
「 なにそれっ 」
持ってきてないならさ、と。
にっ と笑ったAから発された言葉は、すごく驚くべきものだった。
「 明日、退院祝いとして私とデートしてよ 」
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ざゆ(プロフ) - 本当に本当に本当に最高でしためちゃくちゃ泣きました!!こんなすてきなさくひんをありがとうございます、また何回も読みに来ると思います本当に大好きです!! (2020年8月11日 1時) (レス) id: d0019edafb (このIDを非表示/違反報告)
空っぽのコップ(プロフ) - センラさんに正直に話す所から涙が止まりませんでした。こんなにも素敵な作品を作って下さってありがとうございます! (2019年6月28日 7時) (携帯から) (レス) id: 7582f8fce2 (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - ぷりん畑さん» お返事遅くなって申し訳ありません。私の作品なんかで涙を流してもらえるなんて光栄です!ぜひrecoupを聴きながらまたこの作品を呼んでもらえると嬉しいです! (2018年6月7日 3時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん畑 - お友の紹介で読み始めたんですが、夢主事故った位からずっとうぅうぅ泣きながら読んでました。またrecope聴きたくなりました。大好きです。 (2018年5月25日 22時) (レス) id: ddc5e690a1 (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - 葵香さん» 素敵な曲ですよね、あの曲私大好きです(*´ω`*)ご覧いただきありがとうございました! (2018年1月18日 1時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
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