Remember Loving 【志麻】

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センラくんと飲んでから数日。

Aの退院が決まった。一応これからも通院するらしいのだが、身体的にはもうピンピンらしく 病院から出てけ言われたわーと けらけらとAは笑っていた。






｢ 退院したら 簡単に会えんようなるな ｣


｢ え、なんで 遊ぼうや ｣


｢ 坂田と遊べや… ｣


｢ 坂田 仕事やん。私、この怪我で会社切られてもうたし 暇やねん ｣


｢ …まぁ、まだバイトとか探せへんのか ｣


｢ 脚はまだ完璧に治ったわけちゃうしね〜 ｣





それに、記憶障害も気になるし と苦笑いを浮かべる彼女。今まで、俺だけが苦しいみたいなレベルで悲しんでいたが、事故に遭ったのはAの方だ。

一瞬でも意識不明になり、記憶障害を起こすぐらいの大怪我だ。だいぶ長い入院になると見られて、会社からは無慈悲にもクビを切られたらしいし だいぶ元気になったとはいえ全ての怪我が完璧に治った訳では無い。


それに、忘れられた俺もだいぶ苦しいが 何を忘れて何を覚えているのか。それさえも分からない彼女はだいぶ不安だろう。
きっと俺以上にストレスなどもかかっていると思う。






｢ ほぼ毎日こうして 遊べんのって志麻だけやねん。ね、これからも遊んで構って ｣


｢ かまちょかよ めんどくせぇな ｣


｢ うぅわ、女の子にそういうこと言う? ｣





最近になって、Aの俺に対しての対応がだいぶ近しい人のそれになった。
コロコロと変わる表情も見せてくれるし、事故にあって最初の頃の愛想笑いも もう俺に向けることはなくなった。


それは嬉しいことではあるし、ここまで来たら センラくんが言うたみたいに徐々に押して行けばええんやろうけど、それがどうにも難しく。

会えば 坂田坂田 言うこいつに、どうアピールすればいいのかわからん。記憶失くす前は、坂田が好きだなんて一度も聞いたことなかったし、なんなら好きな人はいないとまで言うてたし。







｢ …告白、しねぇの 坂田に ｣


｢ はっ!? なにいきなり ｣


｢ いやそんな好きなら言えばええのにと思って ｣


｢ 言えへんから志麻に相談してるんやん ｣







今度退院祝いでどっか連れてってくれる言うねんけど どんな服装で行けばええかなっ、って楽しそうに俺に問うAに、坂田好みの服で行ったらええやん、と。




俺と付き合ってた時、Aはこんなにも俺のことを考えて 俺の為に生きてくれてたのかなんてふと考えては 切なくなった。

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