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再来、僕は ページ31

「___で、何であんな事になってた訳」



私達二人だけしか居ない医療室に私の声は、良く徹った。



目の前には、何処か怒りを含んだ目をしている僕君が寝台に座っている僕君。



......先刻の温かい目とは大違いだ。



「___最初に一つ良いか」



私は僕君から云うとは思っていなかったので、少し驚異した。

僕君の言葉に私は黙って肯定を表した。



「先日は済まなかった」



......はい?

僕君に理解が追い付かない私を無視し、言葉を続けた。

危うく、主語と述語、張と使おうね〜と云いそうになった。



「貴様が、首領の補佐とは知らず、僕は利いた風な口を___」



莫迦(ばか)じゃないの?」



僕君が云い終わる前に、私は答えた。

其れも、含み笑いで。

そう云えば、今が初めてかな、この世界で笑ったのは。



「先ず、私の事を上に見てるなら《貴様》って云わないし、敬語使うでしょ

て云うか、僕君が謝るなんて気持ち悪いから止めて」



僕君は、相変わらず目を白黒させている。

......ぷッ、其の顔は傑作だな、と思う程に。


嗚呼、僕君は案外、子供なのかもと思ってしまった。

否、年齢的に未成年だが。

年齢ではなく、思考が、動作が、だ。



「す、済みません

では、此れからは《Aさん》と___」



「A、で良い

敬語禁止ね

私も《龍之介》って呼ぶから」



僕君て呼ばれるの厭でしょ、と云うと、僕君は渋々と云った様に頷いた。



「然し、せめて敬語は___」



「上司命令

......あ、でも、君の方が先に就いてたんだっけ」



思考する動作をした後、でも私の方が年上、と云う半端適当な理由を付けると、僕君は云った。



「宜しく頼む

______A」



突如過ぎて驚いたが、正気になり、私も云う。




「此方こそ、精々迷惑はやめてね

______龍之介」



こんな龍之介に、嗚呼、此奴も案外単純何だと思う。

大きな距離が、今、龍之介と私は少し縮まった様な気がする。











然し、もう既に悲劇は始まっていた。


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アルパカはむはむ(プロフ) - れたすさん» すいません、修正します! (2017年3月22日 20時) (レス) id: aa53b83762 (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 苗字と名前がおなじになってますよ! (2017年3月22日 20時) (レス) id: c8875f112f (このIDを非表示/違反報告)
舞花 - オリエンス★さん» 誤字報告有難う御座います!よく間違えてしまうんですよね......(+_+)すいませんでした、修正します! (2017年2月26日 21時) (レス) id: be55d2a0f5 (このIDを非表示/違反報告)
オリエンス★ - あの、姐さんの名前ってこうようですよね?28ページの11行目、ルビがくれはになってますよ? (2017年2月26日 19時) (レス) id: 45aae5d70b (このIDを非表示/違反報告)
舞花 - 続編出来ました!皆様、沢山の評価、お気に入り有難う御座います。今後とも宜しくお願い致します! (2017年2月25日 22時) (レス) id: be55d2a0f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アルパカはむはむ | 作成日時:2017年2月17日 19時

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