15日目 ページ16
「……マイキーが最近寝不足なんだ。
このままだとシゴトに支障が出る。」
ああ、なるほど。と私は理解する。
万次郎は相当なショートスリーパー、または寝ない否寝れないのだ。でも、私と何の関係が……
「うわ言でAAぼやいてんだよ。
あれじゃまるで赤ん坊の夜泣きだ。
正直今のマイキーには手を焼いてる。
だからちとお前の情報を調べてわざわざここまで来たって訳よォ。」
「……お疲れ様です。」
三途君。万次郎には相当手を焼いているようだった。
今話してるだけでげっそりとしている。
私はそんな三途くんを見て、すこし落ち着いた。
出来上がった料理を三途君の前におき、お茶を組みなおす。三途君はそんな私を横目にまた大きなため息をついた。
「お前を殺しちまえば全てが解決すると思ってたんだがよォ……どうにもマイキーが気に入るわけだ。
来てもらった方が早ええ。」
殺す、という言葉に体が跳ねるが三途君の気の抜けた表情を見てほっと一息。
「あ、毒味した方がいいですか。
安心してください毒は入ってないんで。」
そういうと三途君はブハッと笑った。
初めて素で笑った、という所だろうか。
とても幼い、可愛らしい笑顔だった。
「そういうとこだぜおめぇはよォ〜。
さすが俺をビンタしただけあるわ。」
そう言えば私、万次郎だけでなく三途君にもビンタをかましていたんだった。考えただけで目眩がする代物だが三途君は気にもしていなさそうだったのでよしとしよう。
「だいたい毒買える金無さそうだし……ウメェ。」
ブツブツと上機嫌で文句を垂れていた三途君だったがどうやら気に入ったらしい。食べる手が止まらない。
万次郎お墨付きだもの。私の腕に狂いはない。
「あー、万次郎の所に行くという話なんですけど。」
三途君が食べ終わったのを見計らい、私は口を開く。すっかり胃袋を掴まれた三途君はもはや私に懐いたと言っても過言ではないだろう。しっかり聞く耳を持ってくれている。
そんな三途君には悪いが
「そのお話、お断りさせて頂きます。」
1752人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪ん子(プロフ) - 最高です!!ってことは最終話軸?最終話時空の話見るの初めてなので何だか新鮮でした!! (7月23日 11時) (レス) @page30 id: fa924563b5 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 瀬琉チャン.さん» コメントありがとうございます。そう言って貰えて光栄です……! (2022年8月6日 2時) (レス) @page30 id: f3216aef7e (このIDを非表示/違反報告)
瀬琉チャン. - とても深いストーリーに感動しました...!! 本誌の内容が良い感じに組み込まれつつハッピーエンドで完結できる作者さんの文才うらやましいです((( (2022年8月2日 23時) (レス) id: e12b8018fd (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(サブ垢)(プロフ) - 七瀬太さん» コメントありがとうございます!私もとても楽しみにしています! (2022年7月30日 16時) (レス) id: f3216aef7e (このIDを非表示/違反報告)
七瀬太 - すごい泣ける🥹公式?の方の最新刊も本当に楽しみです! (2022年7月25日 16時) (レス) @page30 id: 320abee8c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らずぴす | 作成日時:2021年9月24日 9時