闇色の蝶と造花のアリス ページ23
・
太宰と別れAの眠る医務室へと足を運んだ森。
その様子は、一見嬉しそうにも、何かを楽しみにしているようにも見えた
私は人払いをし、A君の眠る寝台の隣にある椅子へと腰を下ろした
また熱が上がってきたのか、彼女は浅い息を繰り返し、その頬は白い肌とは対照的に火照っていた
そんな彼女の頬を優しく撫でれば、彼女は苦悶の表情を浮かべ一筋の涙を流した
その涙を優しく拭ってやっても、彼女は身を捩り私の手から逃れようとする
「リンタロウ、嫌われてるわね」
「そんなにハッキリ云わないでよエリスちゃん！」
「リンタロウ煩い！アリスが起きちゃうでしょ！」
ピシャリといい放つエリスだが、彼女の声の方が正直森より大きかった
"アリス" まるでそれが彼女、Aの名前であるかのように自然に呼んだエリス
しかし、当の本人であるAは二人の声量が大きいからなのか、熱にうかされているのか____________か……
苦しそうに唸っていた
いつものように二人が口論(厳密に云えば森が一方的に泣かされているだけだが…)をしていると、Aが寝言を呟いた
『……太宰……』
その一言で石のように固まった森。
エリスは危険物でも見るような警戒した目で森を見つめ出した
「折角……折角、私だけしか見られないように洗脳するつもりだったのにね……」
森の目に映っているのはAだけ。
底無し沼を思わせる森の目には、それ以外何も映っていなかった
「渡さないよ。他の誰にも……ね」
首筋につけられた赤い華。
満足そうに笑う森とは反対に、予想以上に痛がるAの手を、エリスは心配そうに握っていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 596人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
七巳流 - 太宰さぁー〜ーーーん (2022年7月10日 16時) (
レス) @page34 id: 910d5180ae (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - Юрияさん» コメントありがとうございます！期待に答えられるように頑張ります！ (2019年4月29日 19時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
Юрия(プロフ) - とても面白いです！此れからも、更新楽しみにしてます！更新、頑張ってください！ (2019年3月17日 23時) (レス) id: f4565d370d (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 山吹晋助さん» 態々返信して頂いてありがとうございます。面白いお話にすることが出来ず力不足で申し訳ないです……そう言って頂けて光栄です。これからもよろしくお願いします！ (2019年3月8日 19時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - ウナさん» コメントありがとう御座います。これからもよろしくお願いします！ (2019年3月8日 18時) (レス) id: 5e06df6d00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レイ | 作成日時：2018年9月3日 23時
