47*未解決 ページ48
「凛月や、そこにいるのじゃろう。」
それまで黙っていた零さまの呼び掛けに、凛月さまもリビングに。
私の覚えている限りの話を廊下にいた凛月さまも聞いていたらしい。
「俺はあの日に父さん達から女の子を家に迎え入れるって聞かされて、一族の儀式に行った。」
凛月さまは私を抱き抱えるようにソファーに深く座るから、引き寄せられ彼を背もたれにしてしまっている。
強すぎる力に押さえられているから動くことは叶わない。
「我輩たちの習性に目を付けた人間が古来より新月生まれの子供を拐い、金儲けの道具として扱う。
昔の時代ならば先祖も力を得るために生け贄として血を得ていたそうじゃが。現にそれを良しとする吸血鬼は今もなおいるがの。」
零さまの話では近代では吸血鬼も社会に出るものもおり、そう言う人拐いや古い習わしを悪と見なす者もいると。
「Aには酷な話じゃがおぬしのご家族は皆事件の犠牲になりもう会わせることも叶わぬ。
Aは吸血鬼に売りさばくために誘拐されたんだ。」
『未解決事件って家族のこと…？』
いつの日か三毛縞さんが言っていたキーワード。
意味も分からなかったけど…
「Aと初めて会った夜にバイヤーと施設は警察に捕らえられている。
父はAを売る旨の連絡が来た時から、警察と連絡を取り合っていたのじゃ。」
『なら、解決しているんですよね…？』
「しておる。ただ、またAが誘拐されるような事があってはいけないからと世間的には未解決のままにしてある。」
吸血鬼は人間社会の裏側を牛耳っているなんて凛月さまが昔言っていたけど、あながち嘘ではないのかな…
そんなこと普通の人には出来ない。
私の家族は殺されて、私は誘拐されて施設で育てられ、吸血鬼に高値で売られて…
『…そうなんですね。
自分のことなのに、今が満ち足りているせいか他人事のように感じてしまいますが…
やはりあの夜に零さまと凛月さまに出会えたことが私にとって最上の幸せです。』
小さな私は犯人の逮捕後、新たな保護施設に預けられるはずでしたが零さまと凛月さまから離れたくないと泣き、朔間様のご厚意でこの家に保護されることになったらしい。
正直少し記憶は抜けている。
「俺もAに会えて幸せ〜。
これからもずっとずっと俺の側にいてよね。」
『はい。必要としてくださる限りお二人のお側におります。』
「「…」」
知らなかったことを知れて、少しだけ前に進めた気がします。
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りっちー(プロフ) - 面白かったです！更新頑張って下さいね〜！ (2018年5月21日 20時) (携帯から) (
レス) id: ee27b93d84 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 夢小説好きなネコさん» 高２の後半、もうすぐ３年になる時期からのスタートなので俺様じゃありません。 (2017年8月2日 10時) (レス) id: efb045d001 (このIDを非表示/違反報告)
夢小説好きなネコ - 兄者って高2の時俺様だったような… (2017年8月2日 5時) (レス) id: fcd198aace (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：モカ
| 作成日時：2017年7月29日 16時
