41*信じるものはそれだけ。 ページ42
「うーん…思っていたより難しいこと考えていたんだね。
何者かって聞かれても俺にはわかんないけど、AちゃんはAちゃんで変わりないよ。」
私は私…
記憶や出自が分からなくても
じっと薫くんを見つめれば困ったように笑っている。
そりゃそうだ。いきなりこんなこと言われたら誰でも困る。
「Aちゃんがどうしたいかじゃないかな。」
『…そだね。そうだよね。
薫くん、ありがとう。
お家に帰るね！』
三毛縞さんが何を知っているのかなんて私は知らない。
もしかしたら零さまや朔間様なら私の幼少の話を知っているかもしれない。
けれどそれを今言わないのは聞かせる必要はないとのお考えなのだろう。
私にとって何より大切なのはあのお二人。
私はあのお二人に救われたのだから。
知りたいと言う気持ちもあるけれど、過去を振り返るよりも、あのお二人の側に居たい。
もう要らないと言われるまで、あのお二人の為に生きていたい。
だって私は朔間様の家の従者なのだから。
「A〜帰るの？」
『凛月さま！はい、夕飯の準備をしなきゃ。
今日はレッスン無いの？』
「knightsは今どさ回り中だからね。
表だった活動もできないし今日はやること無いから帰るよ〜」
*
side零
「斑君はどこまで知っておるのじゃ？」
「何の事ですかぁ？」
「Aの事じゃ。はぐらかさなくて良い。」
夕暮れの屋上に大男と吸血鬼
しんと静かなこの場所は学園を一望できる。
「とある一家が殺害された事件
その家の当時2歳の女の子が行方不明。
５年後にその犯人達が自首し、女の子はとある家に引き取られた。この事件に関して報道は一切されず警察内でも口に出してはいけない事件なんて言われているな
これくらいしか俺は分からないなぁ」
「その娘がAだと言いたいのだろう。
…何も知らないAに余計なことを言うのは止めてくれぬか？
概ね斑君の言った通りだが。」
本当に可哀想な子だ。
吸血鬼に売るために家族を殺され、存在を隠されて生きてきた。
我が家で引き取ったとは言え…
もう本当の家はないのじゃから。
「零さんにとって大切な子なんですね。
…それは吸血鬼として？俺としてはここで頷かれてしまうと、彼女を自由にしてやりたくなるんだけどなぁ」
「…何故そこまでAにこだわる？」
「俺は小さい頃の彼女を見ていたから、では駄目ですか？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 510人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りっちー(プロフ) - 面白かったです！更新頑張って下さいね〜！ (2018年5月21日 20時) (携帯から) (
レス) id: ee27b93d84 (このIDを非表示/違反報告)
モカ(プロフ) - 夢小説好きなネコさん» 高２の後半、もうすぐ３年になる時期からのスタートなので俺様じゃありません。 (2017年8月2日 10時) (レス) id: efb045d001 (このIDを非表示/違反報告)
夢小説好きなネコ - 兄者って高2の時俺様だったような… (2017年8月2日 5時) (レス) id: fcd198aace (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：モカ
| 作成日時：2017年7月29日 16時
